このページでは、
- 髪質改善トリートメントとはどんなものなのか
- どんな効果があるのか
- サラサラツヤツヤ髪なるために必要な回数
- どのくらい長持ちするのか
- 新しく生える髪も含めてずっと髪の毛はサラサラストレートになるのか?
- 髪質改善トリートメントの注意点
について、実際の髪の毛を使って紹介します。
髪質改善トリートメントってどんなもの
別名「酸熱トリートメント」や「酸トリートメント」と言います。
美容室によっては、システムトリートメント(重ねて付けるトリートメント)のことを「髪質改善トリートメント」と呼ぶお店もありますが、一般的には酸熱トリートメントのことを髪質改善トリートメントと言います。
みなさんが「髪質改善」に求めるのは
- クセ毛を真っすぐにしたい
- ハリコシのない髪を元気にしたい
- 傷んだ髪をツヤツヤサラサラにしたい
ではないでしょうか。
「髪質改善トリートメント(酸熱トリートメント)」ではこんな望みを叶えてくれます。
しかし、いくつか気を付けなければいけないポイントや注意点などがあるので、髪質改善トリートメントをするか迷っている方はぜひ参考にしてくださいね。
髪を健康に近づけるトリートメント
髪質改善トリートメントは、髪を健康に近づけるトリートメントです。
髪の毛は傷むと水を吸い込みやすくなります。これを「親水性が高くなる」と言います。
水と仲がよくなるので吸い込みやすくなる。こんなイメージです。
「なかなか髪が乾かない」は、髪が傷んで水を吸ってしまうからなんですね。
逆に健康的で傷んでいない髪の毛は、「疎水性」といって、水をはじくようになります。
余計な水分が入らないので、乾くのも早くなります。
傷んでしまって親水性になった髪の毛を、水をはじくような健康な髪に近づけるのが髪質改善トリートメントの目的です。
髪質改善トリートメントは「結合水」を増やしてツヤ髪にする
髪質改善トリートメントの一番のポイントは「髪の毛の中に結合水を作る」ということ。
「結合水」とは、だれでも髪の毛の中に持っている「乾かない水分」のことです。
ドライヤーでどんなに髪を乾かしてもサラサラツヤツヤ。
こんな髪は結合水が多い髪の毛なんです。
わかりやすく、健康な髪と傷んだ髪の結合水のイメージをイラストで紹介します。
健康な髪はもともと結合水という水分が髪の毛にあるので、余計な水分を取り込みにくい。
しかし傷んでいる髪は水分が少なくなり空洞があります。
パサパサしたり静電気が起きやすくなり、余計な水分が入りやすくなってしまいます。
髪質改善トリートメントの流れ
髪質改善トリートメントを行うと、髪の毛にどんな変化が起こっているのか分かりやすくイラストで説明します。
まず、コチラの傷んだ髪の毛を例にします。「H-O」というのは「水素結合」のこと。
傷んだ髪の毛なので結合水が少ないです。
髪をシャンプーなどで濡らすと髪の水素結合が切れます。(水素結合は乾くとまたくっつきます)
次に髪質改善トリートメントに使われる「グリオキシル酸」や「レブリン酸」「マレイン酸」という薬を髪に付けます。
グリオキシル酸など薬剤の効果で、水素結合に置き換わり結合水(乾かない水分)が増えます。
最後にブローやストレートアイロンで脱水して「H-O」の水素結合を元に戻し、結合水を中に定着させます。
そしてツヤがありまとまる髪になるのです。
これが髪質改善トリートメント一連の流れです。
クセも伸びる髪質改善トリートメント
髪質改善トリートメント(酸熱トリートメント)には、髪の毛の中に新しい結合を作り出す効果があります。
この新しい結合を「イミン結合(イミノ結合)」や「架橋効果」と言い、この結合の効果でクセを真っすぐに伸ばすことができます。
※薬剤メーカーによってイミノ結合と呼びますが意味は同じです。
イミン結合をわかりやすくすると
たとえば、このようのクセ毛があったとします。
そのクセを真っすぐに伸ばして、イミン結合を結ぶことで「真っすぐなクセ」がつく。(架橋効果)
そしてクセが弱まりまとまりがよくなるのです。
しかしこのイミン結合(イミノ結合)は弱く落ちやすいです。
繰り返すことで”まっすぐな髪になろうとする結合”がどんどん増えていきクセが目立ちにくくなります。
髪質改善トリートメントの効果をしっかりと実感するには、初め短期間のうちに繰り返して行う必要があります。
※繰り返す最適の頻度はこの後説明します。
1回目の結合がなくなる前に次のトリートメント。
そしてさらに2回目。
これでイミン結合などの架橋効果が強くなり、落ちにくくなります。
縮毛矯正やストパーと何が違うの?
縮毛矯正やストレートパーマは、髪の”結合”を一度切断してから付け直して形を固定します。
縮毛矯正を例に例えると、
縮毛矯正などの”パーマ”は、髪の毛の中にある「S-S結合」という細胞の繋がりを、薬の力で一度切り離します。
そして、ヘアアイロンで伸ばして再び薬で固定することで、切れた「S-S結合」を再びつなぎ直してクセ毛が真っすぐに伸びるのです。
ストレートパーマも同じ原理です。
しかし髪質改善トリートメントは、
このイラストのように、もともと髪の毛にある「S-S結合」は切らずに、「イミン結合」だけの繋がりで髪をストレートに伸ばすので、縮毛矯正やストレートパーマにくらべると落ちやすいのです。
ただ、縮毛矯正などのパーマ施術は、髪の結合を”切る”ときに、髪に大きな負担をかけます。
髪の状態によっては傷みに耐え切れずチリチリになってしまう事故も起きることがあるほどデリケート。
髪質改善トリートメントに使われる酸熱トリートメントは、髪の結合を切らない”酸性”の力なので、従来の縮毛矯正などにくらべてダメージや負担はとても少ないのです。
縮毛矯正ほどクセは伸びない
髪質改善トリートメントに使われる酸熱トリートメントは、クセを伸ばす効果はありますが縮毛矯正やストレートパーマほどの力はありません。
さきほどイラストで紹介した髪の「S-S結合」は変化していないので、時間が経つと元の形に戻ろうとするのです。
しかし、髪質改善トリートメントは繰り返し行うことで、髪の毛の中に「イミン結合」が増えていきクセが戻りにくくなります。
一回では短期的な効果。
繰り返すことで持続期間が長くなるので、「1回だけ髪質改善トリートメントしたから満足」だともったいないです。
やるなら数回繰り返す。逆にやらないのであればやらないと割り切ってしまったほうが損をしないですね。
あくまで”トリートメント”です。
残念ながら、何度繰り返したとしても強すぎるクセが長期間真っすぐになる効果はないというのを知っておいてください。
何回繰り返せばいいの?メーカーに聞いてみた
髪質改善トリートメント(酸熱トリートメント)は繰り返すことで「真っすぐになる細胞の繋がり(イミン結合)」が髪の毛の中に増えていき、クセが出にくくなります。
そこで繰り返しのためにベストな頻度を「ハホニコ」と「アリミノ」という美容業大手2社の方に聞いてみました。
A:髪質改善トリートメントを繰り返すのに一番良いタイミングや回数はどのくらいですか?
ハホニコ様:回数を重ねると効果も高まるので3~4週間以内に繰り返すのがおススメ
アリミノ様:1ヵ月~1ヵ月半を目安に2回目を行う。
このような回答をいただきました。
2回目を行うタイミングは20日~45日前後のタイミングがよさそうですね。
両メーカーとも、「何回やればいいのか」について回答いただけませんでしたが、繰り返す目安は「3回」と言われています。
薬の種類よっても変わりますが、3回目を行った髪の毛が、一番結合もしっかりして、まとまりやすくなります。
例えば、1月1日に髪質改善トリートメントを行ったとしたら、1月20~2月15日までに2回目を行う。
さらに2回目から20~45日以内に3回目を行うという流れですね。
あとはクセが戻ってツヤが落ちてきたと感じたタイミングで繰り返していけば、トリートメントがどんどん積み重なります。
髪質改善トリートメントはやりすぎに注意
髪質改善トリートメントは、髪に負担が少なくクセを伸ばせます。
しかし、強力な「酸性」の力を使うので、酸の持つ髪引き締め効果で繰り返しすぎると髪がどんどん硬くなります。
髪質改善トリートメントに使われる薬は大きくわけて3種類。
- グリオキシル酸
- マレイン酸
- レブリン酸
です。
新しいもので
- 活性ケラチン
がありますが、ほとんどの美容院では前の3種類どれかです。
どちらも「酸」の数値が強く、酸には髪を引き締めハリコシを与える力があります。
グリオキシル酸やマレイン酸は「酸性」の値も高く効果が高い分クセを伸ばしやすい。
しかし髪が硬くなりやすい。
レブリン酸は「酸性」の値がグリオキシル酸ほど高くないので、髪が硬くなりにくい。
しかし、クセを伸ばす効果は弱くなるという特徴があります。
どちらを使うかは、お客様ではなく美容師が判断することになりますが、
もし髪質改善トリートメントを繰り返していくうちに「髪が硬くなってきたな」と感じたら、美容師さんに「髪が硬くなってきた気がするのですが」と遠慮せずに相談しましょう。
薬の効果を弱めてくれるなど対応してくれるハズです。
美容師さん向けの蛇足ですが、グリオキシル酸はレブリン酸と違い「メチレン架橋」というイミン結合とはまた別の結合を作る効果があります。
メチレン架橋の効果でさらにクセをしっかり伸ばせるので、髪の広がりを収めたい人にはグリオキシル酸を使った髪質改善トリートメントがおススメです。
髪質改善トリートメントでずっと髪はサラサラストレート?
「髪質改善」なんて聞くと、「これからもずっと髪の毛のクセが落ち着く」「新たに生えてくる髪も真っすぐ?」なんて期待してしまう人も多いはず。
実際に私のお客様からも同じ質問を何度も受けています。
残念ながら、髪質改善トリートメントで新しくこれから生える髪の毛まで真っすぐになるということはありません。
ヘアカラー、ストレートパーマ、縮毛矯正などと同じく、今生えている髪の毛にしか作用はしません。
効果を維持するためには、定期的にかけ直す必要があるメニューです。
髪質改善トリートメント「ツヤツヤ髪」の写真はウソ?
髪質改善トリートメントの紹介写真のほとんどに「ツヤツヤ」「ピカピカ」「真っすぐ」な髪の写真が使われています。
この写真は「ウソ」とまではいきませんが、プロモーション用に撮られた「一番ツヤツヤ状態の写真」であることは覚えておいてください。
髪質改善トリートメントの一番最後の仕上げは、お帰りいただく前にストレートアイロンで真っすぐに伸ばしてお帰りいただきます。
ツヤツヤ成分を使って、プロの美容師がヘアアイロンでしっかり真っすぐに伸ばして写真を撮る。
当然ピカピカツヤツヤになりますよね。
私が髪質改善トリートメントを施術した髪も
これだけ内側にクセがあって広がりやすい髪も
こんなにツヤツヤサラサラ。
内側のクセも伸びています。
アップで見てもこんなにキレイです。
「髪が傷まないしこんなにツヤサラになるやらやりたい!」という人も多いと思いますが、これら髪質改善トリートメントで紹介されている画像はプロがストレートアイロンで伸ばした後だからです。
髪質改善トリートメントをしてから一ヵ月経った写真がコチラ。
表面のクセはまだ落ちついていますが、髪の内側のクセは出てきていますね。
縮毛矯正などと違い、時間が経つとクセが戻ってしまうのです。
さらに詳しい比較はコチラに「酸熱トリートメント」として紹介しています。
「髪質改善トリートメントでツヤツヤサラサラ!!」と紹介されている写真の髪が、ず~っと続くわけではないというのは覚えておきましょう。
「ずっとストレートじゃないの?落ちてきた!」という誤解を防げます。
ヘアカラーやパーマをするときは1ヵ月空けよう
髪質改善トリートメントは、髪を酸性にする特殊な薬を使って行います。(特殊な例を除く多くの美容室で)
髪質改善トリートメントには、強力な髪引き締め効果があるためキューティクルが閉じます。
傷みにくくハリコシが出るメリットがあるのですが、ヘアカラーやパーマの薬が入りにくくかかりにくくなるというデメリットがあります。
一ヵ月ほど経つと、徐々に落ちてきてキューティクルの引き締めも弱くなります。
ヘアカラーやパーマなどをする場合は、髪質改善トリートメントを行ってから1ヵ月以上空けてかけることを強くおススメします。
薬も入りやすくなり染まりやすくかかりやすくなりますよ。
カラーやパーマと同じ日に行うこともできますが、ヘアカラーが落ちやすかったりと施術のハードルが上がります。
担当の美容師さんと相談して、先にどちらかを行い日を空けてふたたび施術するなど計画を立てると良いですね。
ヘアカラーの色落ちを調べた内容を
髪質改善トリートメントとヘアカラーは同時にできる?色落ちしない方法とは
にまとめておきましたので合わせて参考にしてください。
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