髪のサラサラ効果、静電気防止、パサつき防止。
ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正が一般的になってきた時代、洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)を使う人も増えてきました。
しかし、洗い流さないトリートメントは種類が多く「どれを使えばいいかわからない!」と悩んでしまう方もいるようです。
そこでこのページでは、洗い流さないトリートメントを大きく2種類に分けた
「オイル」「ミルク」それぞれの違いについて、現役美容師の知識を活かしてわかりやすく紹介します。
「どっちが効果高いの?」
「併用するとサラサラ感アップする?」
「両方の特徴をもったいいとこどりのアウトバストリートメントは?」
など、気になる方は参考にしてください!
洗い流さないトリートメントの付け方と注意点
まずは洗い流さないトリートメントの基本的な付け方について。
洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)は、シャンプーで髪を洗い、ドライヤーで髪を乾かす前に、濡れている髪に付けるのが基本的な付け方です。
髪にアウトバストリートメントをなじませたら、手ぐしや目の大きなクシを使って全体になじませます。
その後ドライヤーで髪を乾かします。
乾いた髪の毛に使ってもいいの?
「流さないトリートメントは乾いた髪に使ってもいいの?」という質問をお客様から多くいただきます。
乾いた髪に使ってもいいですが、ヘアアイロンを日常的に使う人はやめたほうがイイです。
洗い流さないトリートメントは油分でできています。
乾いた髪につけると、中に吸い込まれにくく髪表面に付着。
表面にオイルの膜がある状態でヘアアイロンのような高熱を当てると、オイルが髪に癒着し、ベタベタした質感になることがあります。
使うアウトバストリートメントの種類によっても違うので必ずなるというわけではありませんが、おススメできません。
髪内部に吸収されやすく、伸びのいい濡れている髪に使えば十分です。
ヘアアイロンを使う人は、アイロン後の髪に付けるようにしましょう。
そもそも洗い流さないトリートメントってなに?
洗い流さないトリートメントとは、別名アウトバストリートメントと言います。
Out(外)Bath(お風呂)
つまりお風呂の外で使うトリートメントなので「アウトバストリートメント」です。
シャワーや入浴時に使うトリートメントは「インバストリートメント」と言います。
In(中)Barh(お風呂)という意味ですね。
髪サラサラ効果が高く、付けて乾かすだけで髪の毛の変化が実感できます。
カラーをしているのが当たり前。パーマや縮毛矯正をされている人も多い現代の髪の毛にはピッタリのトリートメントと言えますね。
洗い流さないトリートメント オイルとミルクの違いは?
オイルタイプとミルクタイプの違いについて
「オイルは油っぽいからシットリする?」「ミルクは逆にサラサラ?」
などのイメージがあるようです。
しかし、数多くの洗い流さないトリートメントを使った結果、
オイルタイプでもサラサラ、ミルクでもシットリタイプはあるが、オイルにシットリ、ミルクにサラサラタイプが多いということが分かりました
パンテーンのトリートメントを例に調べてみる
たとえば、パンテーンの洗い流さないトリートメントを例にしてみます。
オイル | ツヤ・しっとり感 | 朝夜使える |
ミルク | なめらかで軽い手触り | 夜お風呂上りに |
ミスト・スプレー | ドライヤーやコテの熱から守ってくれる | オイルと併用がオススメ |
ジェル | 枝毛防止 | シャンプー後の引っかかりやすい髪におススメ |
パンテーンの洗い流さないトリートメントの説明にはこのように書かれています。
もちろん、これはあくまでパンテーンの洗い流さないトリートメントですが、他の大手メーカーのアウトバストリートメントにもオイル=シットリ」で「ミルク=サラサラ」が多いようです。
ただ、中には逆に「オイル=サラサラ」「ミルク=シットリ」で作っているメーカーもあります。
商品の説明をよく読み、どんな髪の毛に向いているのか。そしてご自身の髪をどんな質感にしたいのか、どんなケアが必要なのかを見極めながら選ぶのが大切です。
オイルとミルクの併用は?効果が高くなるのか
オイルタイプとミルクタイプはそれぞれ特徴が違います。
油分が多いのか水分が多いのか。
一緒に重ねて使うことで、それぞれの効果を高めることができますが、個人的には「併用は必要ない」と考えています。
併用することで、より多くの油膜を作り手触り改善効果も高くなります。
しかし、それぞれの持つ「メリット」を薄めてしまうことにもなります。
もし併用するのであれば、両方の効果を持つエマルジョンがおススメ。
エマルジョンはそれぞれの良いところどりを目的に作られたアウトバストリートメントなので、「どっちにしようかな?」と悩んでいる人にもおススメですよ。
アウトバストリートメント 一番の違いは”油”の種類
洗い流さないトリートメントのサラサラ効果、静電気防止の役割を担っている成分は、シクロメチコンやジメチコンといったシリコン剤です。
シリコンの効果でパサパサ、ギシギシ髪の手触りがよくなります。
ただ、シリコン剤による手触り改善という点に関しては、オイルタイプもミルクイプもほとんど違いがありません。
もしお家に洗い流さないトリートメントがありましたら裏面の内容成分を確認してみてください。
配合量の多い順位に書かれているのですがシリコン剤の名前が上の方に書いてあると思います。
この写真にも書かれていますが、~メチコンのような文字があればそれがシリコン剤です。
中にはホホバオイル、スクワラン、ココナッツ、マカダミアナッツオイルなどの植物油だけで作らているものもありますが、かなり少ないですね。
シリコン剤は一緒。では何が違うのか?
それは”油の質”です。
オイルタイプは油そのもの。
ミルクタイプは油と水を乳化させた(混ぜ合わせた)もの。
油の種類の違いが、オイルかミルクか。
そして髪の質感も変わるのです。
オイルタイプのアウトバストリートメントの特徴
オイルタイプは主に植物を原料にした油が使われています。
- アボガド油
- マカダミアナッツ油
- ローズヒップ油
- オリーブ油
- ツバキ油
- ホホバ種子油
- アーモンド油
- ヒマワリ油
など。
何らかの植物油が多く配合されているのがオイルタイプです。
オイルタイプは「透明」を維持するために白濁してしまうものは使えません。
サラッとした植物油もありますが、組み合わせによってシットリした質感になるものも多くあります。
サラサラ植物油が多いか、シットリ植物油が多いかで仕上がりの髪質が変わります。
ミルクタイプのアウトバストリートメントの特徴
ミルクタイプの特徴は白濁していること。そして、オイルに比べると油分は少ないものが多いです。
オイルタイプと同じように植物油が入っていることもありますが、配合量は少な目。
水と油を乳化させるための乳化剤が使われています。
ミルクタイプの大きな特徴として、白濁してしまう栄養剤や油分もトリートメントに混ぜられる、があります。
乳化剤の効果で、水と油を混ぜ合わせている。
水が多い分、油中心のオイルタイプよりもサラサラするものが多いのです。
オイルやミルク以外のアウトバストリートメント
アウトバストリートメントはオイルとミルクだけではありませんよ。
エマルジョンタイプ
ミルクとオイルの中間のようなトリートメント。
オイルタイプほど透明ではなく、ミルクタイプよりは粘度があります。
比較的最近の洗い流さないトリートメントに多く、オイル、ミルク両方のメリットを取り入れて作られています。
スプレータイプ
ミストで髪の毛に付けるタイプの洗い流さないトリートメント。
オイル、ミルク、エマルジョンと違い、油分がとても少ないのが特徴。
スプレータイプの洗い流さないトリートメントは、手に伸ばさなくてもいいのでベタベタしないというメリットがあります。
いちいち手を洗うのが面倒。という方には付けやすく、向いているトリートメントですね。
軽い質感になり均一に付けるのが簡単です。
【結論】洗い流さないトリートメントがどのタイプがいいの?
髪質に合わせるのが大切
結論を言ってしまうと、オイルの方が良い、ミルクの方が良いというのはありません。
洗い流さないトリートメント選びに大切なのは、髪質に合わせること。
髪が細くペタンコになりやすい人がシットリ重くなる洗い流さないトリートメントを使うと、ベタベタした質感になりやすくなります。
逆の髪が多くて太く、広がりやすい髪質の人が軽いサラサラタイプを使うと「物足りない」と感じるかもしれません。
髪が細い、軟毛。ねこっ毛 | 重くならない、軽めのサラサラタイプがおススメ | ミルクタイプ |
髪が太い、多い、広がる | 広がりをおさえるためにシットリタイプがおススメ | オイルタイプ |
このような基準で選ぶと失敗が少ないですよ。
ただ、繰り返しになりますが、ミルクにもシットリ、オイルにもサラサラタイプがあります。
買う前に特徴をよく読んでから選ぶようにしましょう。
洗い流さないトリートメントに入っていると嬉しい成分
洗い流さないトリートメントには、髪の栄養成分、補修効果がタップリ入っているものが望ましいです。
では一体どのような成分が入っていると髪にイイ効果があるのかまとめてみました。
内容成分はパッケージや本体の裏面を見ることで確認できますよ。
おススメ成分
オススメのトリートメント成分を具体的にまとめてみました。順番は関係ありません。
加水分解シルク | 天然の繭(シルク)から抽出される成分。ツヤや髪の補修高価。高級品 |
加水分解コラーゲン | 化粧品に配合されることも。髪の保湿効果 |
加水分解ケラチン(羽毛) | 水鳥の羽から作られたケラチン。別名ケラタイド。抜群のダメージ補修力。ハリコシやツヤ |
ヘマチン | ダメージ補修、カラーやパーマのアルカリ除去 |
シクロペンタシロキサン | シリコンの一種。軽い仕上がりになる高価なトリートメントに配合されていることが多い |
セラミド2 | 水分保持、質感改善 |
ポリクオタニウム-51、61、64、65 | 別名リピジュア 高い保湿力(ヒアルロン酸の約2倍) |
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa | 別名ペリセア 髪内部への高い浸透力 剥がれたキューティクルを補修 |
メドウフォーム-δ-ラクトン | クシ通り改善 ダメージ補修 熱を加えると吸着力さらにアップ |
リンゴ酸 | 髪のPh調整 |
全てが同時に配合されていることはありません。
もしも優先させる成分は?と聞かれたら、『加水分解シルク』や『加水分解ケラチン(羽毛)』などがおススメです。
加水分解シルクは手触り改善に、加水分解ケラチンは髪の補修力が強いので、ダメージケアに最適です。
『セラミド』も手触りがすごくよくなりますね。
メドウフォーム-δ(デルタ)-ラクトンというのは新しい補修成分で、熱に反応して髪のまとまりが強くなります。
ドライヤーの熱に反応して、より保護効果が高くなりますよ。
洗い流さないトリートメントの代わりに使える便利なアイテム
「洗い流さないトリートメントに抵抗がある」という方にも使いやすい、髪の手触り改善効果のある便利なアイテムを紹介します。
ベビーオイル
ベビーオイルの主成分はミネラルオイル(鉱物油)と酢酸トコフェロール(ビタミンE)です。
ミネラルオイルは石油を精製したものですが、元々赤ちゃんの肌に使えるほど安全性の高い物ですし、皮膚からも吸収されることはありません。
主成分のミネラルオイルが、洗い流さないトリートメントの配合されているシリコンと似たような働きをするので、髪の手触りがよくなります。
髪に使った使用感は、サラサラするけど付けすぎると油っぽくなるかな?という感じです。
ネットの情報の中に、「ベビーオイルは髪に良くない」という内容がありましたが、全くそんなことはありません。
ダメージを与える成分は一切配合されていないので安心してください。
ホホバオイル
ホホバオイルはアウトバストリートメントにも使われる植物油。
純粋なホホバオイルは肌にも使うことができるぐらい安全性の高いものです。
「ホホバ」というカリフォルニアやメキシコ原産の多年草の種から取れる天然オイルで、サラッとした質感になります。
オーガニックや天然、自然派ににこだわる方にはおススメです。
個人的にも結構好きです。
スクワランオイル
ホホバオイルと同じように実際に洗い流さないトリートメントに配合されることの多いオイルです。
深海鮫の肝油から取れる動物性のものと、オリーブオイルやベニバナ油から抽出する植物性のものがあります。
髪への使用感はホホバオイルと同じようにサラッとした感じ。これは動物性も植物性も極端な違いはありません。
ただ動物性の方が価格は少し高くなります。
ホホバオイルと同様に純粋なものは肌にも使えるぐらい安全性の高い物です。
オリーブ油
ホホバ、スクワランなどと同じく流さないトリートメントに配合されることのある植物油。
ホホバやスクワランと比べると、シットリさせる効果が高いです。
広がりやすい髪に向いていますが、付けすぎるとベタベタ質感になりやすいので注意しましょう。
まとめ
洗い流さないトリートメントのオイルとミルクの大きな違いは、使われている油の種類です。
オイルにはシットリ、ミルクにはサラサラが多いのも特徴です。
ただ、”モノ”によって違うので、オイルでもサラサラ、ミルクでもシットリタイプがあります。
買う前に特徴をよく読んでから髪質にあったものを選びましょう。
もし「どちらがいいかわからない」という方には、両方の特徴をもったエマルジョンタイプもおススメですよ。
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