今回は美容室メニューとして人気の「ブリーチなしダブルカラー」について詳しい紹介と、注意点についてお伝えします。
ブリーチなしで透明感のあるキレイなヘアカラーができると人気のブリーチなしダブルカラーですが、
「実はブリーチされている」という可能性があるので注意喚起のためにもみなさんに知っておいていただきたいです。
目次
ブリーチなしダブルカラーってなに?
ブリーチなしダブルカラーとは、ブリーチをせずに、高明度・高発色のキレイで透明感のあるヘアカラーに染める美容室メニューの1つです。
一般的なヘアカラーは発色に限界があります。
日本人の一般的な黒髪だと、どんなに明るいヘアカラーで染めても「明るいブラウン」が限界。透明感のあるヘアカラーは難しいです。


例えばこの2つの画像のように透明感のあるキレイなヘアカラーをするためにはブリーチが必要になります。
しかし、ブリーチした髪の毛に近い発色を叶えられるのが「ブリーチなしダブルカラー」、ということになっています。
ブリーチなしダブルカラーは大きく2パターン
ブリーチなしダブルカラーは大きく2パターン。ブリーチを使ずに髪の毛のベースを明るくする。そして色を染め直して発色をキレイにする目的の色(例えばピンクなど)を2回染めて色を濃く発色させる
この2つです。
ほとんどの場合①で使われることが多いですね。
「ブリーチなし」なのに、実はほとんどブリーチ
今回注意喚起としてお伝えしたいのは、「ライトニングブースター」という薬を使ったブリーチなしダブルカラーです。まずベースの髪の毛を明るくする際、ライトナーハイライトナー14レベルのカラー剤ライトニングブースターなどのマニキュア剥がし系などが使われます。後で詳しく説明しますが、どれもブリーチではありません。 土台となる髪の毛を明るくする力はそれぞれ違いますが、この図のように、他のに比べて圧倒的にライトニングブースターが強いです。これはライトニングブースターの処方が普通のヘアカラーとは全然違うため。
販売しているイルミナカラーさんの公式では「従来のウエラブリーチとは異なる」という説明があります。

ライトニングブースターにはライトナーなどには含まれていない「過硫酸塩」というものが入っています。これは普通ブリーチに使われる成分なのです。 ライトニングブースターの中身を調べてみた
ライトニングブースターを買ったので身を調べてみました。

コチラがイルミナカラーの有効成分。医薬部外品のためか全成分は書かれていません。
有効成分をまとめると
成分名 | 役割・効果 |
|---|---|
過硫酸カリウム | 髪のメラニン色素を分解する「脱色剤(ブリーチ成分)」です。主に明るくする力を担当。 |
過硫酸ナトリウム | 同じくブリーチ成分で、酸化力により髪の色素を壊し、明るくする作用を補強します。 |
過硫酸アンモニウム | 上記2つと組み合わせて反応を安定させる酸化剤。脱色を均一に行う補助的な役割。 |
ステアリン酸エチルヘキシル | 乳化剤・油分。薬剤の伸びを良くし、髪へのなじみを良くするためのコンディショニング成分。 |
ケイ酸ナトリウム(粉末) | 安定剤。薬剤のpHを整えたり、粉末の固結防止に使われます。 |
ステアリン酸Mg | 滑りを良くする成分で、薬剤を均一に混ぜやすくします。安定剤としても機能。 |
カルボキシビニルポリマー | ジェル化剤。薬剤を適度に粘り気のあるクリーム状に保ち、ムラを防ぎます。 |
キサンタンガム | 天然由来の増粘剤。薬剤が垂れにくくなり、操作性を高める。 |
ワセリン | 油分。髪や頭皮の乾燥を防ぎ、刺激をやわらげる保護効果があります。 |
エデト酸塩(EDTAなど) | 金属イオン封鎖剤。薬剤の変色や劣化を防ぎ、安定性を保つ。 |
無水ケイ酸 | 粉末のサラサラ感を保つための吸湿防止剤。ダマになるのを防ぐ。 |
DL-アラニン | アミノ酸の一種で、髪のダメージを和らげる保護・緩衝成分。 |
ビサボロール | 植物由来の鎮静・保湿成分。頭皮刺激を抑え、ケア効果を高める。 |
こんな内容です。
この最初の3つ、「過硫酸○○」というのは、まとめて過硫酸塩に分類されます。
過硫酸塩というのは、脱色作用を持つ酸化助剤で、ブリーチ剤にも一般的に使用される成分です。
このことから、みんなが知っている一般的なブリーチではないけど、髪にはブリーチと同じようなことが起きるよ、ということが内容成分から分かります。
イルミナライトニングと混ぜて使う
ライトニングブースターの使用方法を調べてみると、単品で使うわけではないとのこと。
「イルミナライトニングと混ぜる」と書かれています。
この「イルミナライトニング」というのは、一般的なヘアカラーにある「ライトナー」という薬剤。
青や赤などの色素をもたず、ただ髪を明るくするだけのヘアカラーです。ブリーチと似ていますが、薬の強さも内容成分も全然違うものです。
ライトニングブースターを成分から「弱いブリーチ」とするならば、
髪を明るくするヘアカラーに、さらに弱いブリーチをまぜて髪の毛を明るくするということになりますね。
WELLAプロフェッショナルに問い合わせて直接聞いてみた
成分表示を見る限りブリーチと近い反応が起きているのは間違いない。
でもメーカーは「ブリーチではない」と言っている。
実際のところどうなのか、販売元であるWELLAプロフェッショナルに問い合わせて直接聞いてみました。
聞きたかったのは、「ライトニングブースターはブリーチなんですか?それとも違うんですか?」というシンプルな疑問。
WELLAのサポートの回答、要点をまとめるとこのような回答でした。
- 薬事法上の申請では「ブリーチ」ではなく「ライトニング剤」として通っている。なので法律上は「ブリーチ」には分類されない
- ただし、過硫酸塩は配合されているので、ブリーチと近しい影響はある
- 一般的なブリーチよりは優しい処方。主剤が過硫酸塩ではないというのが従来のブリーチとの違い
- 開発背景としては、従来のカラー剤(ライトナー含む)は14レベルが限界だった。一方でブリーチは16〜17レベルまで上げられるがダメージが大きい。その間を埋める薬剤が欲しかった、というのがライトニングシステム誕生のきっかけ
とのこと。
つまりWELLAさんとしても「ブリーチではない」と言い切っているわけではなく、「法律上の分類がブリーチではない」ということ。
過硫酸塩が入っている以上、髪の中で起きている化学反応はブリーチに近い。でも処方として主剤が過硫酸塩ではないため、ブリーチほどのダメージにはなりにくい。
この「14レベルと16〜17レベルの間を埋めたかった」という開発意図はすごく納得できます。現場の美容師からしても、「ライトナーじゃ足りないけどブリーチは使いたくない」というシーンは本当に多いので。
ライトニングブースターだけじゃない。過硫酸塩を使った薬剤は他にもある
WELLAさんからもう一つ興味深い話がありました。
実は、過硫酸塩を使った「ライトニング剤」はライトニングブースターだけではないとのこと。
たとえば、ヘアマニキュアを落とすための薬剤(マニキュアリムーバー)にも過硫酸塩が使われているものがあります。
こうした薬剤も薬事法上は「ブリーチ」ではなく別のカテゴリで分類されている。
過硫酸塩が入っている=全部ブリーチ、というわけではなく、薬事法上の分類と、実際に髪の中で起きている反応は別の話ということですね。 縮毛矯正やパーマは美容師さんに伝えて?1点納得できなかったのが、施術後の縮毛矯正やパーマについて。過硫酸塩は、髪に与える作用はほぼブリーチです。タンパク質を大幅に壊すので、その後の縮毛矯正やパーマは専用の薬に切り替えないと事故が起きます。 「ブリーチではないのなら、お客様も美容師も警戒せずにパーマなど行うと事故が起きますよね?その点についてはどうお考えですか?」と聞いたところ「お客様が美容師に伝えてもらう。そうすれば美容師さんが対応してくれる」と言われました。 いや、、お客さんはそんな専門的なことわからないでしょ…しかも一番危険な部分を現場任せ… この点にだけはなんだかすごくモヤモヤしました。 ライトニングブースターをつかった”ブリーチ無し”は要注意実は先日いつも来てくれているお客様が、他の店で”ブリーチなしダブルカラー”をしてきました。茶髪ぐらいだったので「大丈夫かな」と思い縮毛矯正を始めたところ、ブリーチをされている髪の毛と同じ反応が起きました。具体的には髪の毛が溶け始めるようなテロテロになる現象。そのままにしておくとチリチリになって最悪の事態が起きます。 「ヤバイ!!」と思いすぐに薬を流し、ブリーチ毛用の薬剤で改めて縮毛矯正をしました。 そのお客様にも再確認しましたが「前の美容師さんはブリーチじゃないですよ」と言っていたとのこと。しかし、明るくした直後はその方も「え?ブリーチじゃないんですか?」と確認したほど明るくなったそうです。つまり、ブリーチなしを行っている美容師さんがライトニング系の危険をお客様にお伝えしないでヘアカラーしていたということになります。これが電話問い合わせでモヤモヤした事故につながる部分。本当に危ないんです。
じゃあ「本当のブリーチなしダブルカラー」ってなに?
ここで一度整理しておきたいのが、「本当の意味でのブリーチなしダブルカラー」とは何か?ということです。 お客様の立場に立って考えると、髪の毛に与える影響はほぼブリーチだけど薬機法でブリーチじゃないからOKだよね?じゃありませんよね。 お客様が「ブリーチなし」を選ぶのは、髪を傷ませたくない色落ちが金髪みたいなるのがイヤだ会社や学校で明るすぎるのはNGなど色々です。 そんな方に「法律ではブリーチじゃないので大丈夫です!」なんてなんの慰めにもならないのです。本当の意味での「ブリーチなし」なら「ブリーチと同じような作用が髪の毛に起きないもの」が本当のブリーチなしです。具体的には過硫酸塩の入っていない、14レベルのカラー剤ライトナー、ハイライトナーなどでベースを明るくした髪に色を重ねる。これが本当の意味でのブリーチなしダブルカラーと言えるのではないでしょうか。
お客さんに「ブリーチなし」と説明するのは誤解を生む
ここからは美容師としての一意見です。
ライニングブースターなどの「薬機法ではブリーチではないけど」という薬自体はとても良い薬剤だと思っています。
ダメージに配慮しながら透明感のあるベースが作れるのは本当に画期的。ただ、問題なのは「ブリーチなし」というメニュー名や説明の仕方です。
お客様が「ブリーチなし」と聞いたときにイメージするのは、「髪の色素を抜く工程がない」「ブリーチみたいなダメ-ジがない」ということだと思うんですよ。「ブリーチなしなんだから傷みも普通のヘアカラーと同じでしょ」と思う人が多いハズです。
しかし実際には、過硫酸塩と過酸化水素による脱色反応が起きている。
私が焦った縮毛矯正や、パーマ類に関しても制限ができる。
これを正しく伝えずに「ブリーチなしですよ〜」と言ってしまうと、間違いなく他のお店で施術したときにトラブルが起きます。
たとえばこんなケースが考えられます。
- 「ブリーチなしって言われたのに、色落ちが早い」
- 「ブリーチなしだから縮毛矯正やパーマもかけられると思ったのに断られた」
- 他の美容室で縮毛矯正やパーマをかけたら髪の毛がチリチリになって傷んだ
お客様にとっては「騙された」と感じてしまうこともあるかもしれません。
お客様の髪の毛のためを考えるなら、「ブリーチほどのダメージはありませんが、脱色はしています。なので通常のカラーよりブリーチに近い負担がかかります」ときちんと説明するのが誠実かなと個人的に思います。
【重要】ライトニング後の縮毛矯正・パーマは要注意
ここからは美容師として一番伝えたいことです。
ライトニングブースターには過硫酸塩が入っています。法律上ブリーチとは分類されませんが、髪の内部では脱色反応が起きています。
これが何を意味するかというと、ライトニングブースターを使った髪に縮毛矯正やパーマをかける場合、ブリーチ後の髪と同じような注意が必要になるということです。
過硫酸塩による脱色を経た髪は、見た目にはキレイでも内部のタンパク質構造にダメージを受けています。
そこに縮毛矯正やパーマの還元剤が加わると、髪の体力の限界を超えてしまい「ビビリ毛」と呼ばれるチリチリの状態になるリスクがあります。
特に危険なのは「黒染め+ライトニング履歴」のパターン※画像はイメージです
美容師として本当に怖いと感じるのが、ライトニングブースターで脱色した後に黒染めしている髪です。
黒染めすると髪は暗くなるので、見た目は健康な黒髪に見えます。
でも髪の内部では、過硫酸塩による脱色ダメージがしっかり残っている。
この状態でお客様が別の美容室に行って「縮毛矯正をかけたい」とオーダーしたとします。
担当美容師がカウンセリングで「ブリーチしたことありますか?」と聞いても、お客様は「ブリーチなしダブルカラーって言われたので、ブリーチはしていません」と答える。
見た目も黒髪だから、美容師も「じゃあ大丈夫かな」と判断してしまう。
でも実際には脱色履歴がある。
そのまま通常の薬剤パワーで縮毛矯正をかけた結果…ビビリ毛。
大事故が起きます。
お客様も悪気があるわけじゃない。「ブリーチなし」と説明されたからそう答えただけ。
美容師も見た目では判断しきれない。
「ブリーチなし」という言葉が生む誤解が、最悪の髪の事故につながりかねないんです。
ブリーチなしダブルカラー後に縮毛矯正やパーマを考えている方へ
ブリーチなしダブルカラーをした方が、後日縮毛矯正やパーマをかけたいと思ったときに気をつけてほしいことがあります。
- 美容師さんには「ブリーチなしダブルカラーをしたことがある」と必ず伝えてください。ライトニングブースターがどういう薬なのか知っている人は気が付いてくれるはずです。
- 「いつ」「どの部分に」施術したかもできるだけ正確に伝える
- 過硫酸塩が使われている可能性があるので、通常のカラー履歴よりも慎重な薬剤選定が必要になります
美容師側も、カウンセリングで「ブリーチしたことありますか?」だけでなく、「ダブルカラーやライトニングブースターを使ったことはありますか?」まで聞くべき時代になってきていると感じます。 SNSではすでに注意喚起が始まっているTikTokやインスタグラムでライトニングブースターを使ったブリーチなしダブルカラーを紹介している投稿には、「いやいやそれブリーチだろ」「ライトニングブースターはブリーチだぞ」といったコメントも見られるようになりました。 同じく美容師さんが注意喚起のためにコメントしているのだと思います。しかしそれをわからない美容師さんではない方はやはり「色がカワイイ」「こんな色にしたい」など、感じ方が全く別なのだなと。
じゃあライトニングブースターはダメなの?
誤解してほしくないのですが、ライトニングブースターを使ったヘアカラーが悪いことと言いたいわけではありません。
むしろ、従来のブリーチに比べてダメージを抑えながら透明感のあるベースが作れるという点では、とても優秀な薬剤です。
こんな方にはおススメできます。
- ブリーチのダメージが怖くてダブルカラーに踏み出せなかった方
- ライトナーでは物足りない方
- ハイライトやインナーカラーで部分的に明るさを出したい方
- 髪のダメージが心配でケアブリーチを探している方
ポイントは、「ブリーチじゃないから安心」ではなく「ダメージに配慮したブリーチだから安心」という正しい認識を持つこと。
この認識さえあれば、施術後のケアにも意識が向きますし、色持ちや今後のカラー計画についても美容師さんと正しい相談ができます。
まとめ:「ブリーチなし」の言葉に惑わされないで
今回の内容をまとめます。
- 「ブリーチなしダブルカラー」に使われるライトニングブースターには過硫酸塩(ブリーチの主成分)が入っている
- WELLAに確認したところ、薬機法上は「ブリーチ」ではなく「ライトニング剤」として分類されている。ただし過硫酸塩が入っている以上、ブリーチに近い影響はある
- 本当の意味での「ブリーチなしダブルカラー」は、過硫酸塩の入っていないライトナーやハイライトナーで明るくしてからカラーする方法
- 開発背景は「14レベルのライトナーと16〜17レベルのブリーチの間を埋めたい」というもの。主剤が過硫酸塩ではないため、ブリーチよりはダメージが優しい
- ライトニング後の髪に縮毛矯正やパーマをかける場合はブリーチ毛と同じ注意が必要。特に黒染めで隠れている場合は大事故になりかねない
- 施術を受けた方は、別の美容室で施術を受ける際に「ブリーチなしダブルカラーをした」と必ず伝えることが大切
「ブリーチなし」という言葉はとてもキャッチーで魅力的です。
でも、大切な自分の髪のことだからこそ、言葉のイメージだけで判断せず、中身をちゃんと知った上で選んでほしいと思います。
担当の美容師さんに「これってブリーチとは何が違うんですか?」と聞いてみてください。きちんと答えてくれる美容師さんなら安心です。
もし髪の毛やカラーのことで分からないことがありましたら、気軽にコメントください。美容師経験を活かしてお答えします。




