みなさん「塩シャンプー」を知っていますか?
少し前に「湯シャン」というのが流行りましたが、次に登場したのが「塩シャン」
塩を溶かしたお湯等でマッサージを行うというとてもオーガニックな感じをイメージさせてくれるものですが、
塩シャンをすることで
「白髪が減った」
「抜け毛が減った」
「臭いがとれた」
などなど色々な声があるようです。
ただ、「抜け毛が減るでしょう」「かゆみが改善されるでしょう」という情報があるのですが、肝心な「なんで?」が書かれていない。
そこで今回は塩シャンプーが一体どんなものなのか。
そして塩シャンプーは髪の毛、頭皮環境に対して問題がないのかをいち専門家として意見を書かせていただきたいと思います。
”健康そうなイメージ”から広がった間違い情報もあるのでそれらも踏まえて書かせていただきますね。
もちろん裏図ける根拠もそれぞれ書きます。
他にも塩シャンプーに関する注意点などをまとめておきますので参考にしてみてください。
塩シャンプー
塩シャンプーとは
塩シャンプーとは
「塩を溶かしたお湯で頭皮の汚れや油を洗い流すこと」もしくは
「お持ちのシャンプーに塩を加えて洗髪すること」です。
塩シャンプーの髪や頭皮に対するメリットは
- 白髪が減る
- 臭いがなくなる
- サラサラになる
- 頭皮に良い
- フケがなくなる
- 痒みがなくなる
- 湿疹が治る
- 洗剤を使わずに皮脂が落とせる
このような効果があると言われていますが果たして本当なのでしょうか?このあたりも全て一つ一つ説明させていただきます。
塩シャンプーのやり方
①お湯だけの場合
- 初めにぬるま湯やお湯を用意し適量(洗面器に対して大さじ一杯程度が目安)の塩を入れます。
- その後塩を溶かしたお湯をゆっくりと頭皮にかけながら流します。この際に少し髪と頭皮に揉みこみながら流すことでより全体に行き渡らせることが出来ます。界面活性剤は入っていないので当然ながら泡はたちません。
- 必要に応じて繰り返します。
- 全体を良く流し終えたらシャンプーは終了。リンスとしては酢をお湯に溶いた酢リンスを用います。
- 最後に再度全体を流して終了です
これが一般的なお湯だけの塩シャンプーの一連の流れ。
髪の毛がきしむ場合は酢リンス、もしくは酸リンスを使うと手触りがよくなります。
この方法は湯シャンに近いですね。塩水で頭皮をすすぐ程度なら問題はありません。
②シャンプーボトルに混ぜる場合
お使いのシャンプーボトルの中に適量の塩を加えて混ぜてから使います。
もしくはシャンプーを手のひらに出してから直接塩をまぜてそのまま髪の毛と頭皮を洗います。
大切なことなのではじめに結論からお伝えしますが、シャンプーボトルの中に塩を入れて混ぜるのはおススメできません。
私はシャンプー開発に関わったことがあります。
シャンプーは、お風呂場という湿度が高く温度が高い環境でも、長期間腐ったり腐敗しないように微妙なバランスを計算して作られています。
製造工程で、一定期間の腐敗に耐えれるかのチェックも行われます。
しかし、シャンプーのボトルの中に塩を入れるということは中身のPhやイオンバランスが変わってしまいます。
防腐剤の効果が弱くなり、腐りやすくなってしまう可能性があるのです。
腐ったものが目や口に入るのは危険。顔にかかるのも、さまざまな悪影響が考えられます。
ちなみに、シャンプーは水増ししただけでも極端に腐敗までの期間が短くなります。
中性で塩素の入った水を加えて放置すると、計算のよりも速く腐ってダメになります。
塩でも水でも、シャンプーのボトル内に何か別なものを入れて放置する。というのは皮膚環境にどんな悪影響を及ぼすか予想できないので絶対にやめましょう。
手に取ったシャンプーに塩を混ぜる
シャンプーボトルに入れてしまうと、腐りやすくなってしまう可能性があります。
しかし、手に取ったシャンプーに混ぜて使いきるなら問題ありません。
ただし、塩を混ぜたシャンプーはPh(ペーハー)がアルカリ性に傾きます。
アルカリに傾いたものを髪に付けると、ヘアカラーやパーマが落ちやすくなってしまうので注意が必要です。
塩シャンプーは髪の毛がキシキシして傷みやすくなる
海水浴で髪がギシギシに?
「海水浴に行ったら髪の毛がギシギシになった」という経験はありませんか?
ギシギシしてしまうのは、塩は水分を奪う効果があるため。
さらに髪のキューティクルが荒れてしまうためです。
海水浴は、Phが弱アルカリ性で塩分が混じっています。
髪はアルカリ性に傾くと、キューティクルが開いて中の栄養が外に出やすくなります。
その時に、ヘアカラーの色素や、パーマの持ちに大切なタンパク質が流れ出てしまい持ちが悪くなります。
そして髪のダメージにつながるのです。
ヘアカラー、パーマをしたばかりだと、色落ちが早くなったりかかりが弱くなってしまったりする可能性が高いです。
カラーパーマ後1週間は塩シャンプーを控えるのをおススメします。
髪の毛が引っかかりやすくなると抜け毛の原因になる
髪の状態が悪くなり、引っかかりやすくなった髪の毛は抜け毛につながります。
ドライヤーで指を通した時や、クシ、ブラシで髪をとかした時など。
引っかかった刺激で、本来抜けるにはまだ早い髪の毛が抜けてしまうことも十分考えられます。
塩シャンプーする時は、「酸リンス」や「コンディショナー」を使って髪の手触りを良くしておくことも大切です。
塩シャンプーの安全性やメリットは
塩分は髪には悪いが頭皮には良い
塩シャンプーは、カラーパーマが落ちやすくなる、髪がひっかかりやすくなるなどデメリットがあります。
しかし、皮膚へのメリットはたくさんあります。
画像引用元:http://www.siojoho.com/s05/03.html
コチラは、塩浴後の、体温と血流の変化のグラフです。
グラフでわかるように、塩の効果で血行がよくなり体温が下がりにくくなっています。
頭皮も皮膚なので、血行促進効果で抜け毛予防、白髪改善効果は期待できると言えます。
そして、アルカリ性のシャンプーの代表に「せっけんシャンプー」があります。
一般的なシャンプーに比べて余計なものが少なく、皮膚科でアトピーの方にすすめられるシャンプーです。
髪がギシギシするのが難点ですが、皮膚の弱い方にはなくてはならないシャンプーなのです。
人間は塩にアレルギーがない
人間は塩に対してはアレルギーがありません。
「海水浴でアレルギーが起きた」という方もいるようですが、クラゲのポリガンマグルタミン酸や日光の紫外線、冷えによる内臓機能の低下など別の要因が考えられます。
特に海水浴などは、アトピー性皮膚炎の改善に効果があると注目されています。
使うなら微粒塩がおススメ
塩マッサージや塩浴など、頭皮環境改善に期待の持てる塩ですが、やりすぎてしまうと角質を傷つけます。
海水のように、完全に塩が溶けきっているのであれば刺激はすくないのですが、粒が残っているままだと皮膚刺激につながってしまいます。
お湯にしっかり溶ける量で、さらに溶けやすい微粒塩がおススメです。
さらに安全性を考えて、食品グレードを使いましょう。
コチラが食品グレードで微粒塩。
スタイリング剤は落とせない
お湯に溶かして行う塩シャンプーには、界面活性剤がありません。
そのため、油汚れを落とせないのでスタイリング剤は落ちません。
ヘアワックス、ヘアスプレー、ヘアオイルなどを付ける方はシャンプーで汚れを落とす必要があります。
塩を使った湯洗だけだと、油汚れと皮脂が酸化し皮膚刺激や悪臭につながります。
これまでのことをふりかえったおススメの塩シャンプー方法
これまでのことを振り返って、あらためておススメの塩シャンプーを紹介します。
- お湯は溶けきれる量で使いすぎない
- 湯シャンに近い、かけ流しながら
- お風呂に入浴剤として入れて血行促進効果を高める
- ヘアワックスなどスタイリング剤を使う方は、シャンプーで汚れを落としてから使う
- シャンプーボトルに混ぜない
- 手に取ったシャンプーに混ぜてもいいが、粒子が残ると皮膚刺激のもと。基本的にはお湯に溶かして流すのがおススメ
です。
塩自体は安全性の高いものなので、塩シャンプーは髪の毛よりも頭皮環境を優先したい方におススメです。
塩シャンプーの”本当”のところ
塩シャンプーのネット上の評判は上々のようです。ただし、ネットの情報をみていると「ん?」と思うような内容がチラホラ…
なので、塩シャンプーをすることで髪の毛や頭皮に起きる”実際のところ”を紹介させていただきます。
特に良く書かれている、
- 白髪が減る
- 臭いがなくなる
- サラサラになる
- 頭皮に良い
- フケがなくなる
- 痒みがなくなる
- 湿疹が治る
- リンスで使うのは酢がいい
このあたりにスポットを当てていきたいと思います。
塩シャンプーで白髪が減る?
申し訳ありませんがこの件に関しては「違う」としか言いようがありません。
と言うのも、一切なんの根拠も医学的根拠も皆無だからです。
おそらくこの、「塩シャンプーで白髪が減った!」というのは「なんとなく健康志向な感じがするからそんな気がする」という思い込みから生まれた都市伝説です。
髪の毛の白髪というのは、毛根内部のメラノサイトが髪を黒くする(日本人の場合)メラニン色素を生み出す機能が、”なんらか”の原因で機能しなくなり、メラニン色素を含まない、つまり色のない白髪が生えてくるのが白髪の主なメカニズムです。
このメラノサイトがメラニン色素を生み出さなくなる原因は、ストレスや血行不良、遺伝など様々なことが言われていますが、まだ謎の部分が多く解明されていません。
そして残念ながら、塩そのものにこのメラノサイトに働きかける力はありません。
ましてや塩を使ったからと言って血行が良くなる訳でもないので、この件に関しては「あり得ない」としか言いようがないのです。
訂正します。
塩による血行促進効果が期待できるので、毛根のメラノサイト(髪に色をつける組織)の活性化が期待できます。
ただ、塩シャンプーにこだわりすぎて皮脂が残ってしまうと、酸化し、活性酸素が増えます。
活性酸素は細胞を壊し、白髪の原因になります。
盲信しすぎて、塩シャンプーだけにこだわらず、定期的にシャンプーも行い余計な皮脂を落とすようにしましょう。
A:塩の血行改善効果で白髪改善に期待が持てる。ただし、やりすぎると逆効果になるので注意
頭皮の臭いが消える?
塩シャンプーによって頭皮の臭いが消えたという話があります。
これは「塩の殺菌作用」の効果によるものです。
塩は元々微生物を殺菌しそれらの繁殖を防ぐ効果があります。
その代表的なものは漬物。漬物は常温保存にも関わらず腐敗しにくいですよね。これは塩の持つ殺菌効果も大きく関係しています。
頭皮には皮脂と共に様々な雑菌等が存在します。
シャンプーだけで落としきれなかった皮脂などは放置してしまうと雑菌が繁殖し、酸化してしまい腐敗臭を生み出すことがあります。
塩を使うことでこれらの雑菌を殺菌、そして繁殖を防ぐことができるので頭皮の臭いが少なくなると考えることができます。
ただ、シャンプーをやめれば悪臭が良くなるというわけではありません。
体臭は、体内の老廃物や食生活によっても頭皮の臭いは変化します。
頭皮のニオイを改善させたいのであれば、体の外(シャンプーの質)や体の中(食生活)からのケアが大切になります。
A:雑菌の繁殖による頭皮の臭いは消せるが、食生活や他の原因の臭いの場合はその限りではない
塩シャンプーはサラサラになる?
塩シャンプーでよく言われるのは、初めのうちはギシギシするが、続けていると髪の毛がサラサラになる、というもの。
おそらくこのように言われるようになったものいくつか理由があると思います。
考えられる原因としては、洗浄力の強すぎるシャンプーで洗っていたが、それがなくなったので手触りが良くなった。というもの
この辺りはおそらくお湯だけの湯シャンであっても同じような質感の髪の毛になっていたのではないかな。と考えられます。
シャンプー剤の中には強すぎる洗浄成分が配合されているものもあります。
有名なものでは「ラウレス硫酸ナトリウム」や「ラウリル硫酸ナトリウム」のようなものですね。これらは石油系界面活性剤で、特に脱脂力が強く、乾燥体質の人が使うと髪の毛や肌がパサパサします。
これら脱脂力の強いシャンプーで髪の毛を洗う回数が減ることで髪の状態が良くなることがあります。
ただ誤解しないで頂きたいのは、塩の影響によりサラサラになっている訳ではないということ。
何かが1つ良くなったことで「塩シャンプーでサラサラになった!塩シャンプーが一番いいんだ!」と崇拝しすぎるのは危険かもしれません。
A:脱脂力の強いシャンー剤を使っていた人の場合は手触りが良くなるかのせいもあるが、それは塩の効果ではなく、単に脱脂力の強いシャンプー剤で洗う回数が減ったことによるもの
塩シャンプーは頭皮に良いの?
何をもってして「良い」というのかによります。
塩を混ぜたお湯はアルカリ性になり、カラーパーマが落ちやすくなります。髪もキシキシしやすくなり刺激に弱くなります。
しかし一方で、アトピーの方には弱アルカリ性が良いとされます。
「質の悪いシャンプー剤から距離を置く」という意味では頭皮に対して「良い」といえるかもしれません。
ただそれは「塩シャンプーだから良い」のではなく「悪いものがなくなった」という効果かもしれません。
A:質の良くないシャンプーで洗う回数が減るという意味では”良い”と言える
フケが出なくなる?
これは一部の人に対してはありえます。その一部の人というのは「乾燥肌」の人。
乾燥肌の人が脱脂力の強いシャンプー剤で洗っていると、頭皮の脂もなくなるので乾燥しやすくなります。
乾燥が強くなることで皮膚の薄皮が剥け、フケが増えるのです。
ただそれが塩シャンプーの効果なのか、それとも洗浄力の強すぎるシャンプーから距離を置いたのが原因はハッキリしません。
崇拝しすぎて「どちらか一方だけ」になるのは気を付けましょう。
オイリー肌タイプの人は、ある程度しっかりした洗浄力で洗わないと皮脂が残りすぎてしまいます。
脂性の大きなフケがでてくるようなら、洗い足りない可能性もあるので、塩シャンプーの頻度を少なくしてみましょう。
肌の様子を見ながら使うことが大切です。
A:乾燥肌の人はフケが減る可能性もあり得るが脂性肌の人は注意が必要
痒みがなくなる?
洗浄力の強すぎるシャンプーをつかっていたためにかゆみがおきていた。それをやめたことで改善された。
もしくは本当に塩の効果でかゆみがなくなったのか、この時点ではわかりません。
アトピーの方には海水が良いという話もあるので、肌質によっては本当にかゆみがなくなります。
ただ、溶けきっていない洗い塩でゴシゴシこすると、角質を傷つけ逆にかゆみの原因になります。
かゆみに悩まされている方は、シャンプーの質を見直してみるのも効果的です。
ほんとに塩シャンプーの効果なのか、それともいままでのシャンプーが合っていなかったのかがわかりますよ。
A:かゆみがおさまる可能性はある
頭皮湿疹が治る?
こちらも、今までのシャンプーが良くなかった可能性があるので一概に言えません。
ただ、海水塩にはミネラルなど多くの栄養が含まれています。
その効果で頭皮湿疹が改善できたのか。
それとも今まで皮脂を取りすぎて乾燥して頭皮環境が悪くなっていた。そして湿疹につながっていた。などさまざまな可能性が考えられます。
A:頭皮湿疹の原因によっては効果的な場合もあるが、乾燥やシャンプー成分以外(食生活)の原因の場合効果はない。
塩シャンプーのリンスとしては酢のリンスが良い?
塩水はアルカリ性に傾いてしまうので、最後に酸性に戻してあげたほうが手触りがよくなります。
主に使われるのは「酸リンス」なのですが、コストを安くおさえるために、酢を使う人もいるようです。
ただ、酢は髪に使うべきではありません。
実際に髪の毛に使ったことがありますが、ものすっごくクサイです。
酢のニオイが髪に残って、とにかく不快。
天然系のものこだわりたい気持ちも分かりますが、一般的なコンディショナーや、酸リンスで髪をサラサラにしたほうが気持ちよく生活できますよ。
特に、酢を薄めずにつかうと、目に入った時危険なので注意しましょう。
A:酢は臭いのでおススメしない。目に入っても危ないし、酸リンスや一般的なコンディショナーで十分
まとめ
今回は塩シャンプーに関してまとめさせていただきました。
オーガニック、ボタニカルなど、天然素材、自然素材にこだわるとのはとても良いことだと思います。
実際シャンプーの内容成分を見ると「なんじゃこりゃ」「使わない方がマシでは?」というようなものも正直あります。
ワザワザお金を出して買ったのにそれが原因で頭皮トラブル、なんて笑えませんよね。
ただ、塩シャンプーをはじめとする何かを試してみて、一時的に状態が良くなったからと言って盲信しすぎには注意しましょう。
試したものがよかったのではなく、今までのものが悪かった。という可能性もあるからです。
頭皮や髪の様子をみながら、極端な考えを持たないことが大切です。
≪関連記事≫