「湯シャンが一番いい!」
「化学成分が入っていないし頭皮に健康的だ」
「シャンプーなんて人間には必要ないんだ!お湯だけで十分!」
湯シャンへの考え方は色々ありますね。
このページでは最近ブーム(?)になっている湯シャンのメリットやデメリット、そして危険性などを紹介させて頂きます。
初めに言っておきますが、プロの目からみて湯シャンだけで生活するのは絶対にやめた方がいいです。その根拠になる理由も3つ詳しく説明させて頂きます。
合わせて「こんな湯シャンなら安全で頭皮環境にも良い」という方法も紹介させていただきます。
将来の頭皮と髪の毛のためにも湯シャンの真実を勉強しましょう。
湯シャンとは
『お湯でシャンプー』:お湯で流すだけでシャンプー剤は使わない。
これが湯シャンです。
・化学物質等を頭皮に付けないので、髪の毛や頭皮が健康になる
・抜け毛を防止することができる。
・頭皮が乾燥しない
このような目的で「お湯で流すだけにすると良い(らしい)」という口コミやネットの情報のもとシャンプー剤を一切使わずにお湯だけで洗うことです。
たしかにシャンプー剤は人工的なもの。
自然な状態こそ人間にはベストと考える気持ちは分かりますが、本当にこれが現代社会においてベストな方法なのでしょうか?
湯シャンを広まった背景
私自身の憶測ですが、湯シャンを広めたのは男性ではないかと考えています。
湯シャンはテレビや雑誌で取り上げることはほとんどなく、その情報の発信源がほとんどネットです。
インターネット上に書かれだしてきたころ、シャンプー剤の洗浄成分が問題視されていた時期でもありました。
考えられるのは、頭皮や毛根に対して悪影響のある洗浄成分を嫌った人たち、そしてその結果脱毛や薄毛に繋がると考えた人たちが、
「それならシャンプーを使わなければいいんじゃないか」
ということで湯シャンを始める人が増えてきたように感じます。
人間にとって自然な状態。化学薬品とは無縁の生活に近づくことで健康状態になろうと考えた結果ですね。
湯シャンが「地肌にいいから」という理由で始める人は大きな勘違いをしている
湯シャンを始めるキッカケの1つに、「シャンプーで頭皮の脂を取りすぎるから」という理由があります。
「頭皮の脂を取りすぎるから残した方がいい」
「頭皮を傷つけてしまうからシャンプー剤は使わない方がいい」
このように考えるの気持ちはすごく分かります。
しかし、もう一方でこのように考えることもできます。
それは…
「使っているシャンプーが悪い」です。
頭皮の脂を取りすぎてしまう脱脂力の強いシャンプー剤を使っているのが問題であって、存在するすべてのシャンプー剤が必要以上に頭皮の脂を取るわけではありません。
毛根や頭皮にダメージを与える成分が入っているシャンプー剤を使うのが良くないだけで、入っていない(限りなく少ない)シャンプー剤も存在します。
「一定の温度以上のお湯はシャンプーと同じ効果がある」という情報もありますが、
確かに”頭皮の脂”に対しては効果があるでしょう。
しかしスタイリング剤などのロウ成分が入ったものは界面活性剤の力を使わない限りお湯だけでは落ちません。
もし「いや落ちる!」と考えている方は試しにワックスでベタベタにしてハードスプレーでガチガチにした髪の毛をその”一定の温度以上”というお湯で流してみてください。
まず間違いなくワックス成分が落ち切ることはありません。
お湯とスタイリング剤が混じり合ってかなり気持ち悪いことになります。
それが数日たってしまったらさらに最悪なことに…
湯シャンでお酢を使っても意味がない
湯シャンの方法の中には「お酢を使うといい」というような方法もあるようですが、これは酢の使い方を完全に勘違いしてしまっています。
お酢のPhは酸性です。
髪の毛を酸性にする必要があるのは毛が傷んでいる時やカラーやパーマの後です。
おしお酢を使う場面があるとするならばそれはシャンプーとしてではなく、リンスやコンデショナーとしてです。
お酢をお湯で溶いて使うのは弱酸性の水を作ること。つまり酸性リンス。
現に酸リンスという商品があります。
酸性リンスの使い道は「石鹸シャンプーのようなアルカリ性のシャンプーを使ったあとにPhをリセットするため」に使うものです。
シャンプー剤も何も使っていない自然な状態でアルカリに髪の毛が傾くことは、美容室や市販でのパーマやカラーメニュー、もしくは海に入った後などかなり特殊な条件下だけです。
酸リンスがあるのだから無理して酢を使う必要もなく、無理に使うと髪の毛が強烈に酢臭くなります。
シャンプーの成分で羊水が臭うようになった??
シャンプーの成分の害悪説が広まったころこんな噂を耳にしました。
「シャンプーの悪い成分が体に溜まり、子供を生んだ時の羊水が臭うようになった、臭くなった」という噂。
おそらくこの噂はシャンプーの内容成分の経皮毒(皮膚から吸収される毒)に関わるころだとだと思われますが、ハッキリ言って都市伝説です。
疑問1:なぜ経皮毒が羊水だけに集まるのか
疑問2:日常の食生活から摂取される添加物や保存料などの化学成分を無視していないか
疑問3:ラウレス硫酸Naなどの旧指定成分の発がん性物質のことを言っているのであれば羊水となんの関係があるのか
この疑問の内容を紐解いていけば分かるハズです。
シャンプーによって羊水が臭くなるのは都市伝説だったのだと。
そもそも経皮毒からの毒素の量よりも食事からの毒素摂取の方がずっと吸収量は高いです。
体内に直接入れるんですから。
コンビニ飯、外食、冷凍食品、糖質、保存料着色料などなど。
これらを無視してシャンプーだけのせいにするのはいかがなものかなと。
湯シャンに向いているのは乾燥肌タイプの人だけ
誤解のない様にお伝えしますが、自身は湯シャンを”完全”には否定はしません。
ただ、『長期的にやりすぎるのは問題がある』と考えているだけです。
1日おき、もしくは2~3日に一回。こんなペースならほとんど問題ありません。もちろんスタイリング剤を使っていないことが前提ですが。
人の体質によって湯シャンが向いている人向いていない人がいます。
それは乾燥肌タイプか油性肌タイプどちらかなのか。
この判断方法はフケを見ると分かります。
乾燥肌の人はフケが細かく小さいです。大して油性肌タイプの人はフケが少し脂っぽく大きいのが特徴。
他にも顔の乾燥状態を見ても判断できます。
湯シャンに向いているのは間違いなく乾燥肌タイプの人。
乾燥肌の人は皮脂の粘度がとても少なく、お湯だけで簡単に落ちます。
逆に油性肌タイプの人は皮脂の粘度がとても強いです。
油性肌質の人はお湯だけだと皮脂が残りすぎてしまう可能性が高いので、乾燥肌タイプの人よりもお湯だけの日を減らして界面活性剤(シャンプー)で皮脂を洗い流すことをお勧めします。
皮脂が残り過ぎてしまうと、日増しに酸化し、臭い、そして雑菌の温床になります。
湯シャンだけの生活を今すぐ辞める3つの理由
①確かにお湯で汚れはほとんど落ちるけど
髪に付着する汚れやホコリ、頭皮の脂はお湯でしっかり流すことで7~8割落ちます。
しかい逆を返せば2~3割は残ります。
湯シャンだけで数日、数週間過ごしている人は頭皮の状態に特徴があります。
頭皮近くがかなりシットリしていて、髪の毛がペタッとしているのです。濡れているわけじゃないけど、脂で濡れているような。そんな状態。
そして湯シャンでスタイリング剤は落ちません。
スタイリング剤は人口的に作られたもの。ワックスなどはいわば蝋(ロウ)と油の固まりで、流さないトリートメントも人工油です。
これは人間が本来自然に過ごしてて付着する汚れとは全く異なるもので、その日のうちにキチンと落とすには界面活性剤の力が必要です。
スタイリング剤や残り過ぎてしまう皮脂を無視して湯シャンを続けていると髪の毛はどんどんベタベタになっていくので注意しましょう。
見た目にも清潔な印象を与えません。
②湯シャンは時代に合っていない
湯シャンで落ちる汚れはあくまで、チリやホコリ、そして雨の汚れ等です。
人間の皮脂も大部分落とせますが、完全には取り切れません。
「シャンプーがなかったころの時代の人間は使っていなかった!だから大丈夫!」という考え方もあります。
確かにシャンプーや石鹸がないころの人達は洗剤がないのでお湯や水だけで洗ってました。
しかしそれは最も原始的な頃の話。
日本に石鹸が入って来たのは16世紀ごろの織田信長や豊臣秀吉時代と言われています。
庶民が当たり前のように使うことが出来るようになったのは明治時代に入ってから。
ではそれまで全員お湯だけだったか?というのは違います。
石鹸が普及するまでは、植物の灰汁(アク)や米ヌカ、米のとぎ汁、大根やイモの煮汁など様々なものを洗剤の代わりに使ってきました。
お湯だけではなかったのです。
それに原始時代のころとは『食生活』が全く違います。
食べ物が変われば皮脂の質も変わります。
原始時代の様に肉や魚、米や野菜などだけ食べていれば血液もサラサラなので皮脂もお湯で簡単に落とせるぐらいサラサラだったと考えられますが今はどうでしょう。
現代人はお菓子や外食、食生活の欧米化で皮脂の質も昔よりずっと油分が強くなっています。
大昔と同じことをしていても、今の人の体には合わないのです。
③頭皮への問題
実際に湯シャンを続けた人の髪の毛や頭皮に起きた問題を紹介させていただきます。
痒くなる
この症状が一番多い様です。
シャンプーの成分で油分が必要以上に無くなってしまい、乾燥を招いたことでの痒みはシャンプーを減らすことで改善できます。
しかし湯シャンで生じた痒みは、頭皮から分泌された皮脂が酸化してしまったことが原因。垢や汚れとなんら変わりません。
体が何らかの刺激を感じているということは、問題が起きているということ。
痒みを我慢していること自体ストレスにもなるので、シャンプーを0にするのではなく、あくまで回数を減らすなどの方法に切り替えた方が良いと言えるでしょう。
頭皮にカビが生えた
湯シャンを続けていた人が、頭に違和感を感じて皮膚科に行って診てもらったところ「頭皮にカビが生えている」と診断された実話です。
頭皮の脂が多すぎたために水分が残り過ぎてしまったのか、頭皮の雑菌が繁殖しすぎてしまったのか詳しいことは分かりませんが現に頭皮にカビが生えてしまうことがあります。
湯シャンを続けていても頭皮のカビは治らないので中止したそうです。
髪がベタベタ
湯シャンで頭皮の脂を完全に取りきることはできません。
日に日に取り切れていない分がどんどん蓄積していくので、重く、ベタベタな頭皮になっていきます。
変化は少しづつなので初めのころは分かりにくいですが、1週間2週間すると素人目に見ても分かる様になります。
水気はないのに濡れているような決して気持ちのいいものではありません。
衛生的とは言い難い状態ですね。
ボリュームがでない
日本人の頭の骨格は、トップにボリュームが出にくいという特徴があります。
頭頂部が平らな人が多いので髪の毛が立ち上がりにくいのです。
トップが潰れてしまうと、横のふくらみが目立ちヘアスタイルのバランが悪くなります。
湯シャンを続けていると根元部分が脂っぽくなってくるので、脂の重さで髪の毛寝やすくなります。
いくらワックスでごまかそうとしても、ワックスも油性なのでどんどん髪が重くなってくるのでさらにボリュームは出ません。
「なんかへスタイルが気に入らない」
このような状態になりやすいのです。
臭い
頭皮に皮脂がどんどん溜まり、日増しに酸化していきます。
酸化した皮脂は臭い始めます。
人間の嗅覚はすぐに慣れるようにできているため自分では気づきにくいですが、他の人からは臭いと思われている可能性があります。
事実、何日も洗っていない人の頭は異臭を放っています。
何日も頭を洗わない人をシャンプーするという機会は普通の人にはあまりないと思いますが、鼻にウッとくるような臭いがします。
雑菌の繁殖
残った皮脂が酸化した状態というのはいわば”汚れ”です。
汚れが残ったまま寝ると、体温で暖められた環境で枕に付いているダニや雑菌等が繁殖しやすくなります。
もしも湯シャンを続けていて、頭が痒い。等があれば枕や寝具から移ったダニや雑菌が原因の可能性もあります。
頭皮の衛生面から考えても悪影響です。
フケが増えた
人のフケには二種類あります。
脂性の頭皮に起こる大きいフケと、乾燥肌タイプに見られる細かいフケです。
乾燥肌タイプの人のフケはターンオーバーという皮膚の生まれ変わりがスムーズに行われていないことが考えられ、脂性タイプの人は雑菌の繁殖によるものです。
どちらの症状にしても、頭皮環境が悪くなってしまっているのが原因です。
頭皮環境が悪くなってしまったと言ってさらに湯シャンを続けるのは悪循環。
頭皮環境がどんどん悪くなり、頭皮の湿疹やそのほかの症状になって現れます。
お世辞にもキレイとは言えません。
湯シャンは必要なのか
化学物質を避ける生活は体にとってプラスに働くこともあるでしょう。
しかし、頭皮に悪影響のある洗浄成分や化学物質を避けるために湯シャンを始めたとすれば、
問題のある成分の入っていないシャンプーで洗ってあげればいいだけです。
有名どころでは、旧指定成分である『ラウレス硫酸ナトリウム』『ラウリル硫酸ナトリウム』等が入っていないシャンプー剤ですね。
最近ではラウレスの代わりに『オレフィン(C14-16)スルホン酸Na』を使うシャンプー剤も増えてきましたが、こちらも同じように脱脂力が強い洗浄剤なのでおススメとは言い難いです。
アミノ酸系のシャンプーは比較的マイルドな洗浄剤を使っているのもが多いのでおススメです。
もしもどうしても”シャンプー剤”に対して嫌悪感があるのであれば、湯シャンを長期間やらないことです。
1週間以上続けると頭皮環境がかなり変化してしまうことが考えられるので2~3日程度にしておく。
どんなに長くても1週間に1回は頭をシャンプーで洗う。などに切り替えた方が頭皮環境は良くなります。
ただし、スタイリング剤(ワックスなど流れにくいもの)を使っていない髪の毛というのが前提です。
スタイリング剤を使う人は毎日シャンプーしないと油汚れがあっという間に溜まります。
毎日リセットして寝ないと頭皮が荒れたり悪影響が表面化する可能性が高いです。
安全性の高いものは?
自身が調べた中で、洗浄成分の安全性も高く、余計なものも配合されていない。
一部の”良くない”シャンプーばかりに注目して、「シャンプー全て良くないんだ!」というのは極端すぎます。
身体にとって何が悪いのか、何を除けば安心して使えるのか。などを判断することであなたにピッタリのシャンプーを探すことができます。
特に海外製のシャンプーに注意しましょう。
海外ブランの製品のシャンプーは脱脂力が日本製のものよりも強くできています。
元々外国人の方の洗髪リズムが数日に一回のため、溜まった皮脂や汚れをその1回で取れるように作られているということと、
海外では硬水の地域が多いので、硬水でも泡立つように洗浄力を強くしているのです。
湯シャンに向いているのは年配だけ
年配の方は毎日お風呂に入らなくなる方が多いです。
若い世代の方に比べて皮脂の量も減りますし、外出など汚れるような行動も少なくなるので必要が無くなるのです。
皮脂の質が変わるので年配の方であれば4~5日程度シャンプーしなくても特に問題ありません。
年配のお客様で、シャンプーだけに来てくれるお客様は1週間、長い時で2週間近く空く時もありますが頭皮に異常はほとんどありません。(臭いは多少あります)
しかし、若い方の皮脂の質でやるべきではありません。
どうしてもシャンプーが合わない、ブツブツができるし痒くなるから使いたくない。という方は、先ほどもお伝えしたシャンプーの洗浄成分を見直してみてください。
粗悪な洗浄成分が引き金になっていて、頭皮の乾燥を招いてしまっている可能性が高いです。
安全な湯シャンの方法
それでも湯シャンをしたいんだ!という方もいらっしゃると思います。
シャンプーの成分や肌質の兼ね合いもあるでしょう。
そんな方におススメなのが『3~4日、もしくは一週間おきにシャンプーする』という方法。
0か100かという考えは極端すぎます。
数日置きにシャンプーで洗うようにすれば、皮膚の保護のための皮脂も十分に分泌され、シャンプーの洗浄成分の影響を頭皮が受けにくくなります。
シャンプーを毎日していた頃にでできていたフケや痒み、湿疹がかなり収まりベタ付きもしない。という方もいらっしゃいます。
もしもアトピーであれば
アトピー性皮膚炎の方はシャンプーで痒くなってしまったりしやすいので嫌っている人が多くいます。
アトピーなど皮膚疾患で湯シャンを始める方も多いのですが、アトピーの方はせっけんシャンプーなら刺激が少なく皮膚科からもおススメされやすいシャンプーです。
ただし、せっけんシャンプーはかなりゴワつきやすいので、必ずセットで売っている酸リンスか、コンデショナーやトリートメントでゴワゴワになった髪の毛をリセットしましょう。
せっけんシャンプー
アトピーじゃなくても、頭皮環境に良いのでおススメです。初めかなりゴワゴワしますが。
酸リンスでゴワつきを取るのが一般的な使い方
まとめ
はるか昔は実際に湯シャンは行われていました。(そもそもシャンプーや洗剤なんてなかった)
しかしそれは原始時代の話。
海外の方も日本人ほど頭を洗いませんが、それでも数日置きにキチンとシャンプーで落汚れを落とします。
それぞれの環境や時代に合わせて生活していくことは大切です。
私自身も毎日シャンプーすることが良いとは言いません。むしろできるならやめた方がいいと考えているぐらい。
スタイリング剤を使わないのであれば2~3日。もしくは4~5日程度に1回のシャンプーでいいと思っています。
しかし湯シャンに切り替える人の多くがなぜか完全にシャンプーをやめてしまうという極端な行動を取る人が多いです。
突然今までと違う頭皮環境になれば何か問題が起きても不思議ではありません。
幸い日本では薬剤研究は進んでいます。トラブルの起きる可能性のあるシャンプー剤も販売されていた反面、起きにくいようにするためのシャンプーも同時に開発されています。
良質なもので洗ってあげれば、毎日シャンプーしても全く問題ありませんし、極端な行動を取って逆に頭皮環境を悪化させないよう気を付けてください。
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