ブルーとベージュを混ぜた『ブルージュ』
青みがかった黒『ブルーブラック』
グラデーション状に青系のヘアカラー
ビビットな青
”青”つまりブルー系のヘアカラーというのは人気があり、「やってみたい!」という人は非常に多くいらっしゃいますが、プロ目線からの話をさせていただくと、『青系はとにかく発色しにくい』ということを是非とも知っておいてください。
実際にヘアカラーをしてみたところ、
「青系を入れたら緑になった!」
「色が濁った!」
という話を多く聞くので、できるだけブルー系ヘアカラーを発色させやすい方法、ブルーブラック系ヘアカラーを出す方法を紹介させていただきます。
青系カラーは難しい
「青系の髪色にしたいのなら、ブルー系ヘアカラーを髪に使えば良いじゃん!簡単でしょ?」
と、おそらく多くの方は考えるのではないでしょうか。
確かにその通り。青系のヘアカラーを出すためには青い色素を持ったカラー剤を使う必要があります。
ですが、残念ながら多くの方がイメージしているものとは全く違う仕上がりになってしまうのです。
特に多い症例として、「青色を入れたはずなのに緑になった!」というもの。
ブルー系ヘアカラーがなぜこんな緑色になってしまうのか、なぜ発色しにくいのかという理由なども踏まえて説明させていただきます。
色素
青系のヘアカラーがキレイに発色できない理由。その最たるものが『髪の毛の色素』の存在です。
髪の毛にはユーメラニンと呼ばれる黒褐色の色素を、赤黄色をしたフェオメラニンという色素があります。
ちなみに、色素が全く存在しない髪の毛は白髪です。
これらの色素はどんな人の髪の毛にも存在しますが、人種や遺伝によって比率は違い、日本人の場合ユーメラニンの比率の方が大きいため黒髪の人が多く、欧米人の場合フェオメラニンの比率の方が高いため、赤髪やブロンドの方が多いのです。
髪の毛の発色はキャンバスに絵の具を乗せることをイメージしていただくと非常に分かりやすいです。
例えば黒髪の場合、黒色のキャンバスに色を乗せることになります。
どうなるか分かりますよね? そう、どんな色を混ぜても髪はほとんど黒いままです。
では逆に真っ白の髪の毛に色を入れると、どうでしょう。
この場合、黒とは対照的に、乗せた色のそのままの色が髪の毛に発色することになります。
青でも紫でも黄緑でも自由自在です。
髪の毛が明るくなるカラーは?
このキャンバスの説明だと、髪の毛が明るくなり、なおかつピンクやオレンジなどの色が付く理由が説明できません。
髪の毛が明るくなるヘアカラーというのは、アルカリカラーと呼ばれ、アルカリ剤等の成分の効果で髪の毛の色素を抜きつつ色を入れるので、色が発色するのです。
例えば日本人の髪の毛の平均である『5レベル』という真っ黒から、『8レベル』という茶色の髪の毛、かつ『ピンク』のヘアカラーを使ったとします。
この時、薬剤の効果で髪の毛のアンダーと呼ばれるベースの色素を明るく抜きます。大体『9~10レベル』にまで。
そして同時に今度は『ピンクの色素』を髪の毛に入れます。色素を髪の毛に入れることでやや暗くなるので、その結果9~10レベルから少し暗くなり、結果的に『8レベルのピンク』になるのです。
そのためシャンプーや時間経過で色素が抜けてくると、9~10までリフトアップ(明るく)した髪の毛が出てきて、「あれ、染めた時よりも明るく色抜けした」と感じるのです。
ブリーチは必要?
「ブルージュにしたい」「ブルーブラックにしたい」「青色にしたい」
と考えた時、求める色にもよりますが大半はブリーチは必要になります。
色を乗せるためのキャンバスの色を出来るだけ薄くしておく必要があるのです。
ですが、髪の毛の色素はブリーチ1回程度であれば『黄色のフェオメラニンが強く残っている』ということを覚えておいてください。
色相環
色相とは色ごとの波長の違いです。
赤・橙・黄・緑・青・紫という連続した配列を円状ににしたものを色相環と呼びます
例えば、色相環における『赤』と『黄』を混ぜると『オレンジ』になります。
青を入れたら緑になった!
そして「青系ヘアカラーを入れたのに緑色になった!」という方は
この図の様に、青系ヘアカラーの色素と、ブリーチ等で色を抜いて残った黄色の色素が混じり合って、丁度色相環の中間の緑に発色してしまっているのです。
「緑になったから更に青を濃くすれば青になる?」
いいえ、残念ながら黄色の色素が強く残っている限り同じような緑になるだけです。
ブルー系ヘアカラーを出すためには
色素が多く残っている限り出ない
では髪の毛に色素がある限り青系のヘアカラーは無理なのか?
はい、まさにその通り。もちろん求めるブルージュ、青の程度によっても違いますが。
しかし、髪の毛の色素をできるだけ薄くすることで青色を出すことはできます。
つまり、色を乗せるためのキャンバスを、黒→黄色→非常に薄い黄色 にすることでその後に加える色味の邪魔にならないようにするのです。
そのための手段はただ一つ『ブリーチを数回行う』意外には方法はありません。
日本の薬事法では、ブリーチ剤に混ぜることのできる過酸化水素水の濃度は6%まで。という法律があります。
海外の場合6%以上の薬剤も使用可能なので、人によってはたった一度のブリーチで限りなく薄い黄色にすることもできませんが、日本のの薬ではまず1っ回では難しいです。
あくまで目安ですが、3~4回のブリーチで限りなく色素はなくなる。と考えてください。
もちろんブリーチだけで完全に白にしてしまうと、『断毛』といって、髪の毛がダメージに耐えられずに切れてしまうので、最高でも4回~5回程度に留めましょう。
このあたりは個人差があるので髪の毛の様子を見ながらの判断です。
ブルーブラックの色味は?
「明るい青色ではなく、真っ黒が青っぽくなった色にしたい。」という要望も多からずあります。
このブルーブラックのような色味は果たしてヘアカラーで出す方法はあるのか?
あるにはあります。
ですが実は、黒に近い色だとしても本当に青っぽい色を出したいのであれば同様に白に近い状態までブリーチした後にマニキュアのブリーブラックなどで染める必要があります。
一見、イメージだけで考えると、「黒髪に青を塗ればなるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、髪の毛の”黒”というのは単純な黒ではなく、黒、茶色、赤、黄など様々な色が混じり合って黒っぽく見えているのです。
つまり、単純にカラーも何もしていない真っ黒な髪の毛に青系のマニキュアを使ったとしても、髪の毛に残っている赤や黄色の色素が発色の邪魔をしてしまい結局濁ったようになるのです。
そのため、純粋なブルー系のブラックを目指したいのであれば白っぽく脱色する必要がありますが、正直それをしてしまうとせっかくブルーブラックにしたのにあっという間に色が抜けてしまったりと現実的ではありません。
そのため、最も有効な方法としては、ブリーチせずにそのままブルーブラックのマニキュアを使って、その色で満足する。というのが曖昧な答えですが最も現実的です。
色素が元々薄い人の場合、上手くいけばブルーブラックっぽくなる場合もあります。※本当に人それぞれ
ウィッグなど髪の毛ではキレイなブルーブラックもありますが、あれは髪の毛ではなく人工ナイロンなので参考になりません。
ブリーチを使う場合は良く抜けるブリーチを使おう
実は一口にブリーチと言っても大きくわて2種類あります。
それは、非常に抜けの良いブリーチと、対して脱色できないブリーチです。
これはブリーチ後の求める色味、その後のダメージによって使い分けるのですが、もしブルー系の色を発色させたいのであれば間違いなく抜けの良いブリーチを使いましょう。
抜けの悪いブリーチだと4~5回脱色したとしても黄色い色素が強く残る薬剤もあります。
限りなくフェオメラニンを少なくしておいた方がキレイにブルー系カラーは出ます。
市販で買うことのできる抜けのいいブリーチ
まとめ
ちょっと絵が残念で申し訳ないのですが、色相環でいうところの矢印の範囲内の色味というのは、人間が元々持っている色素に近い色素の為ヘアカラーで表現するのも容易です。
ですが、矢印外の反対色になればなるほど難易度は高くなります。
ブルージュ、ブルーブラック、そのた青系全てです。多くの場合緑っぽくなったり濁ったりして結局普通の茶色っぽくなったりします。
純粋な青に至ってはほぼ白っぽくないとまず無理です。
「上手く青色が出ない!」という方は複数回のブリーチを検討してみてください。
そして、写真の青を強調させた加工をして「ブルージュにしました~」なんてSNSに上げている写真にも要注意。
加工して色が変わっている写真の色味は、現実に表現するのが難しい場合がほとんど。
「ブルージュにしました~」なんて人も実際に見てみるとそこまで青っぽくなかったりします。
その見極めは、写真に写っている人の肌の色を見てください。
生きている人間とは違い、なんだか血色が悪い?だったりやけに光が透けている感じでフラッシュが多く使われているのは写真のマジックを使っている可能性が高いです。
見て楽しむ分には問題ないですが騙されないようにしてください。
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