ドラッグストアなど、どこにでも売っている縮毛矯正剤やストレートパーマ剤。
安くいつでもできるので、セルフで行うことを考えた人は多いのではないでしょうか。
しかし現役美容師として、セルフで行う縮毛矯正やストレートパーマは絶対におススメしません。
「家でやらないで美容室に来てね!」という商売トークではなく、あくまで個人的な意見です。
もちろんやるのは自由だと思います。
ただ高い確率で上手くいかないこと、そして失敗してしまった時のリスクが大きすぎるのです。
このページでは、そんなセルフ縮毛矯正やセルフストレートパーマが失敗しやすい理由。
そして失敗すると髪の毛に一体どのようなことが起きてしまうのかについて紹介します。
セルフ縮毛矯正ストレートパーマが失敗しやすい理由
セルフで縮毛矯正を行うメリットは
- 安い
- いつでもできる
この2点ではないでしょうか。
縮毛矯正はカットも含め1~2万円前後する高級メニューです。
しかし自分で薬液を購入すれば、千円~二千円ほどでできてしまいます。
それに、美容室が営業している時間や予約を気にせずにできるのも魅力。
メリットが多いセルフ施術ですが、
- 薬液の知識
- 技術力
- 髪へのダメージ
この3つはどうしても補いきれず、さらにヒドイ失敗だと
- 髪がチリチリになる
- ゴムのように伸びて切れる
このような取り返しのつかない失敗が起きてしまうのです。
ヒドイ失敗は美容師さんでも直せない
「セルフで失敗しても美容室にいって直してもらえばいいや!」
という気持ちもわかりますが、髪がチリチリになったりゴムのように傷んでしまった髪は美容師でも直すのは困難です。
縮毛矯正やストレートパーマは、髪に負担をかけて毛をまっすぐに伸ばします。
チリチリになってしまった理由は、髪が堪えられる負担量を超えてしまったため。この状態を美容師は「ビビる」や「ビビった」と言います。
直すために再び縮毛矯正をしようとしても、さらに髪に負担をかける必要があります。
しかし髪はこれ以上負担に耐えられない。
その結果「直せない」
となってしまうのです。
トリートメントで手触りを良くできますが、チリチリはまっすぐになりません。
ゴワゴワした感触がいつまでも残ってしまい、切る以外の選択肢がなくなってしまうのです。
美容師でも縮毛矯正は難しい
プロである美容師にとっても、縮毛矯正やストレートパーマは難しい技術です。
たとえば、国家資格を取得した美容師なりたての人に、最初から最後まで縮毛矯正を任せることは絶対にありません。
それほどまでに、勉強と経験が大切な施術だからです。
「なんだかできそう」と見える裏には
- クセの強さに合わせてどの薬を使うか
- 髪の傷みに合わせて薬に強さを調節
- 時間をどれくらい置くか
- ヘアアイロンは何℃で伸ばすか
など、いくつもの選択と判断を繰り返しています。
この選択を一つでも間違えると、
- かかっていなくてクセが伸びていない
- 傷みすぎて髪がチリチリになった
このどちらかになってしまうのです。
セルフの薬剤はパワーが強い=傷みやすい
縮毛矯正もヘアカラーも、セルフで行うための薬は基本的にパワーの強い薬剤が使われています。
これは「どんな髪質の人でもかかるように(染まるように)するため」。
薬剤の強さの選択肢はなく、箱に入っているものをそのまま使う他ないのです。
髪がすでに傷んでいる人や、髪が弱い人は薬の影響を強く受けます。
パワーの強い薬では傷みすぎてしまい、「必要以上に傷んでしまった」という失敗が起きやすいのです。
お医者に行って、「大体効果は同じだから適当にこの薬飲んで!」なんてあり得ませんよね。
医師はその人の性別、年齢体の大きさ、症状によって薬を微調整して必要な量を出します。
これと全く同じことが髪の毛にも必要なのです。
毛先と根元の薬は塗り分けが必要
縮毛矯正をかける人の多くは、以前に縮毛矯正かけたことがある人です。
この場合、以前に縮毛矯正をかけた部分は、クセが強い場所と薬を変える必要があります。
根元のクセが強い場所は、しっかりとかかるパワーの強い薬。
毛先の縮毛矯正がかかっている部分は、パワーの弱い薬、もしくは薬を付けない。
このように塗り分けなければキレイに仕上がりません。
しかし、この塗り分けはセルフで行うのはとっても難しい。
知識のあるプロでも自分の髪は上手くできません。
地肌に薬がつくと「根折れ」という最悪の失敗に
私は「根折れ」と言っていますが他の呼び方をする美容師もいます。
この「根折れ」というのは、根元部分の髪の毛が「く」の字に折れ曲がってしまう縮毛矯正特有の失敗です。
縮毛矯正は必ず、地肌から5mm~1cm離して薬を付けます。
ヘアカラーのようにベタベタ地肌に薬をつけません。
地肌に薬をつけると、頭皮と直角に折れたようなアトが付いてしまうため。
普通は地肌から真っすぐに毛は生えています。
しかし、このイラストのように地肌につくように薬を付けてしまうと、
このイラストのように、「く」の字に曲がって折れてしまうのです。
さらに時間が経ち、折れた毛が伸びてくると、このように毛先側がカクッと曲がっているという格好悪い髪になってしまいます。
この根折れの失敗を防ぐためには、
このイラストのように、地肌から5mm~1cm離して薬を付ける。これが正しい縮毛矯正の薬の付け方なのです。
髪の毛がまるまる無くなったトラブルも起きている
私が勤めていた会社の系列店で実際に起きたトラブルです。
ある日、そのお店はとても混み合っていました。
そこに縮毛矯正のお客様が来店。順番通りに「1液」という薬を付けて時間を置いていました。
しかし「1液」を流さなければいけない時間になっても手が空かず、お客様はそのまま長時間放置。
やっとのことでスタッフの手が空き薬を流した時に悲劇が起きました。
なんと、縮毛矯正の薬はおろか、髪の半分ほどがズルリと抜け落ちてしまったのです。
ウソみたいな話ですが実際に起きた事故です。
この失敗の原因は3つ。
①時間を置き過ぎた
②薬剤のパワーが強すぎた
③頭皮にまで薬剤が付いてしまった
この3つです。
髪の毛が抜けてしまったお客様には、ヘアスタイルが戻るまで美容料金を負担し、髪の毛のケアをしていくということで和解を得たようです。
縮毛矯正は間違うと大きな事故につながることなのだと再認識させてくれました。
自分ではうまくいったと思っているけど…
もう1つの失敗例は、私が実際に対応したお客様で、普段からセルフで縮毛矯正を行っている男性の方でした。
その方は普段からセルフ縮毛矯正をし、「上手くいっている」と仰っていました。
上手くいっているはずなのになぜお店で?という疑問はありましたが髪の毛を見てみると、毛先がほとんど溶けかけていました。
髪としての弾力がなく、濡れるとはりつくようなゴム状の毛。
チリチリの「ビビり」とは違いますが、同じように修復不可能なほど傷んだ髪の毛です。
縮毛を全体にしたいとこのことでしたが、残念ながらこれ以上髪に負担をかけると、切れてしまったりチリチリになると判断。
毛先はそのままにし、クセのある根本側だけの施術に変更していただきました。
美容室によっては、髪が傷みすぎているのを理由に縮毛矯正自体を断られることがあります。
自己判断で後悔し、逆にお金がかかってしまったり思い通りのヘアスタイルを楽しめないなどのデメリットがあることもぜひ知っておいてください。
まとめ
縮毛矯正やストレートパーマは美容師免許を取得した美容師でさえ、すぐに全部任されることありません。
薬剤選択や塗り分け、アイロン、手順などを含めても数年勉強したのち、やっと一人で取り掛かれるようになるような技術です。
「前髪だけなら」と簡単に考えてしまうと、ヘアスタイルで一番大事な前髪が取り返しのつかないことになる可能性がありますよ。
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