リンゴ酢でヘアカラーが落ちるというのはウソ!!落ちない理由と証拠画像

インターネットを見ていたところ、なんとも面白そうな記事を見つけてしまいました。

それは「リンゴ酢にはヘアカラーを落とす効果がある」「リンゴ酢を髪の毛に付けると色落させられる」というもの。

 

正直この記事を見た時に驚いてしまいました。

「いや…そんなはずはないと思うけど…」
「え…ネットで噂になっているならもしかしたら?」
なんて

ヘアカラーを落とすと効果があると言われているリンゴ酢。果たして本当にヘアカラーが落ちるのでしょうか?

 

私自身リンゴ酢でカラーが落ちるということを初めて聞いて気になってしまったので実際に実験してみました。

 

そしてやってみた結果…
先に結論から言いますが、『リンゴ酢でヘアカラーは落ちません

実験結果の画像も載せてあります。

 

リンゴ酢は目の刺激に繋がったり、髪の毛が酢臭くなってしまうのでやらない方がいいです。

黒染めやヘアカラーをリンゴ酢で落とそうと考えている方は前もって読んでおくと役に立ちますよ。

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リンゴ酢でカラーが落とせる?落ちない?

以前に自身の記事『【色を落としたい】髪のヘアカラーを早く落とすにはこの方法 』でもリンゴ酢の話はさせていただきましたが、
どうやらネット上で「リンゴ酢を使えばヘアカラーが落とせるらしい」という情報が出回っているようなので、実際に実験して検証してみました。

 

ちなみに実験前の自身の考えは落ちないだろうです。

 

酢のPhは2.4~3

皆さん、酸性~中性~アルカリ性はご存知だと思います。

理科の授業で習ったPh(ペーハー)という記号で度合いを表すものです。

実は髪の毛を考えるときにこのPhはとても重要。薬剤カラー剤やパーマ剤、トリートメントやシャンプーにも大きく関わる重要な指標です。

 

今回のテーマの『リンゴ酢』つまり『』なのですが、この酢のPhというのは一般的なものでPh2.4~3と言われています。

 

Phの中性は『7』と言われていて、それよりも数字が少ない場合は酸性になります。つまり酢は完全な酸性です。

これはとても大切なので覚えておいて下さい。

 

酸性は髪の毛にとっては好条件

カラーやパーマをされたことのある方も多くいらっしゃると思いますが、これら施術に使う薬剤は特殊なものを除きほとんどが『アルカリ性』です。

 

アルカリ性に傾けることでキューティクルを開かせて薬剤を浸透させやすくし、アルカリ性の状態の方が薬剤の力が発揮されやすいためです。

しかし髪の毛をアルカリ性にするとキューティクルに負担をかけてしまい、髪の毛をダメージさせてしまいます。

 

髪の毛が酸性になるというのはこの逆。開いたキューティクルを閉じさせる効果があるので傷みにくい髪の状態を作ることができます。

 

ちなみに、ダメージ補修で有名な”トリートメント”はアルカリ性で作られることはまずありません。すべて弱酸性です。

開いたキューティクルを閉じさせ、髪の状態を良くするためです。

 

このことからも、『酸性である酢にはキューティクルを閉じさせる効果がある』ということが分かります。

 

キューティクルが閉じると色持ちは良くなる

トリートメントが弱酸性で作られているのは、キューティクルを閉じさせる効果もあるためです。

髪の毛に負担をかけてしまうアルカリ性でトリートメントを作るって意味が分かりませんからね。

 

キューティクルが閉じている状態というのは髪の毛にとっても良い状態で、表面を覆っていて保護の役割があるキューティクルが閉じます。
すると中に入り込んだ色素が出にくくなり、色の持ちが良くなります。

 

「これじゃあカラーを落としたい目的とは真逆じゃないか!」

 

そうです。真逆です。

 

髪の毛というのはアルカリ性に傾けることで、キューティクルが開くので中に入り込んでいる色素は抜けやすくなります。

カラーをしている状態で海水浴に行ったらヘアカラーが落ちた!という経験はないでしょうか?

 

海水というのはPhが弱アルカリ性です。

海水に髪の毛が浸かることでキューティクルが開き、色素がそのまま海に流れてしまっているので海水浴では極端にカラーが落ちるのです。

海水浴後は髪の毛がギシギシになりますよね?その原因も、髪の毛がアルカリ性に傾くことで起きる現象で、サラサラになった!という人はまずいないでしょう。(海水の塩分もギシギシに影響)

 

親切な美容室だと、夏場のカラーの時は海水浴にすぐ行かないようにとアドバイスしてくれるお店もあります。

 

バッファー効果

リンゴの酸味の成分であるリンゴ酸の持つ効果の一つに『バッファー効果』というものがあります。

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、美容師の中では有名な言葉です。

 

このバッファー効果の意味は、カラーやパーマでアルカリ性に傾いた髪の毛をゆっくりと中性~酸性に傾け、徐々に髪にとって理想的な状態に戻す。ということ。
その結果カラーは落ちにくく、パーマの持ちを良くする効果があるのです。

 

そしてリンゴは、リンゴ酸という形でシャンプーやトリートメントに配合されたりします。

バッファー効果のある成分は、他にもヘマチンなどがありパーマなどにも使われます。

 

ということは、Phが酸性でさらにバッファー効果のあるリンゴの成分。これはもう”色を落としたい”という希望とは180度逆なのです。

 

色落ではなく変色

実はヘアカラーというのはパーマの様に2液というのがありません。

パーマの2液が持つ役割は、アルカリ性になって不安定になった髪の毛を酸化させて安定させるのが目的ですが、カラーにはこれがありません。

 

これには『アルカリカラー直後に酸性にすると変色する』という特徴があるのでせっかく染めた色を持たせるためにカラーには2液で酸化させないのです。

 

カラーには酸化染料と直接染料という種類があります。(アッシュなどの色味の薄い物は酸化染料でピンクや赤のような色の濃い物は直接染料の場合が多い)

この両方とも、カラー後、短時間の内に酸性に傾けることで色が薄く、変色しやすいという特徴があります。

変色、つまり発色が弱くなるのです。

 

例えば分かりやすいピンクの色味の場合、カラーして時間を空けずに酸性になる薬剤を髪に付けると極端にピンクの色が薄くなり、茶っぽくなります。

 

本来色持ちを良くしたいのであれば、空気酸化と共にゆっくり時間をかけ酸化させる方が理想です。

 

リンゴ酢は酸性。おそらくリンゴ酢で色が落ちたと考えている人はもしかしたら変色による作用を勘違いしたのではないか。というのが自身の実験前の仮説です。

といっても本当にカラー直後しか効果はありませんけどね。

 

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実際にリンゴ酢を使って実験

まぁ御託はさておき、実際に見てもらった方が早いですね。

 

分かりやすい様に同じ条件の髪の毛を同じ時間ブリーチしました。

黒髪二つを

黒い二つの毛束の写真

ブリーチ

二つの毛束にブリーチをつけた写真

それがコチラ

二つの毛束をブリーチで染めた後の写真

この写真は髪の毛をブリーチ後です。

そしてその髪の毛をさらに4レベルの薬剤で色を入れます。ちなみに4レベルの薬はほぼ黒です。

 

なぜ4レベルなのかというと、おそらく髪色を落としたい人の大半が黒染めを想定しているかと思うので、それに合わせた色の暗さです。

まぁこのトーンの色が本当に落とせればどんな色でも問題なく落とせるだろう。ということで選びました。

明るくした髪の毛を黒く染める

黒く染めた後の髪の毛の写真

写真は時間を置いて黒くなった様子。

仕上がりがコチラ

黒く染めた毛束を乾かした状態の写真

写真をみてもわかるように黒いですね。

根元の方は金を残していますが、これはキチンとブリーチ毛を黒染めしましたよ~という意味で残しています。

そしてこちらがリンゴ酢。

食べ物なのに変な使い方してすみません…

検証に使うためのリンゴ酢の写真

今回の実験方法は、一つの毛束はカラー後にすぐリンゴ酢に浸けます。

これは、カラー直後に酸性にすると色が変色するので、それをもしかしたら”色が落ちた”と皆さん感じているのではないか?という仮説を確かめるためです。

なので残りの毛束は5日ほど待ち空気酸化を終えてから改めてリンゴ酢につけるために残しておきます。

リンゴ酢と、黒染めした毛束と10分タイマーの写真

時間は10分単位を三回。

トータル30分、染めた髪の毛をリンゴ酢に浸けて、その度に髪を乾かして色の落ち具合を見ます。

もちろんリンゴ酢は原液。そのまま手束をダイブ。

 

ちなみにリンゴ酢なのですが、鼻にグッとくる凄い匂いです。

これを風呂場でやったら次に入った家族がビックリしそう…

髪の毛をリンゴ酢に沈めた状態の写真

 

10分経過の時点の髪色

丁度一本髪の毛束を残しているので、Befor Afterを写真で確認してみましょう。

 

10分経過したので酢から出して乾かしてみます。

上がリンゴ酢の前の髪の色。

写真の指を置いてある下の毛がリンゴ酢に10分浸けたものです。

リンゴ酢に10分浸けたもの。指で指しているのがリンゴ酢に浸けた毛束

変わって…いますか?

心なしか薄くなったようななっていような…

まだ時間10分なのでもしかしたら時間が足りなかった可能性もあります。

さらに10分追加して様子を見ます。

追加で10分間毛束をリンゴ酢に沈める

20分経過

どうなんでしょうか…正直10分後との差が自分の目にでは分かりません。

リンゴ酢に20分浸けた髪の毛束の比較写真

さらに10分放置します。

30分経過

お風呂場でリンゴ酢を髪に使うことを想定したら、30分ほどが限度ではないでしょうか。

というのも、酢の匂いが本当にすごく鼻に突き刺さります。

仕上がりがこちらの写真。

リンゴ酢に30分浸けた毛束の検証写真

正直、カラー直後に酸性にすることになるので変色の効果で色が薄くなるかな?と考えましたがどうやら違ったようです…

結果は…

 

『全く落ちていない』

 

そして髪の毛からとてつもない酢の匂い!

正直なぜ「リンゴ酢で色が落とせる!」という情報がネットで出回っているのか不思議です。

 

一次結果感想

ひとまず空気酸化の後のリンゴ酢も見てみたいので5日後にさらに実験してみますが、あまり意味がないかも…

 

五日後…

日にちが経ち、完全に空気酸化が終わったので引き続きリンゴ酢で色抜きを行います。

まぁ当初の予定では、染めたての状態が急な酸化のせいで変色し、色が落ちたような感じに見えるのでは…
というのを期待(?)していたのですが、色落や変色どころかほとんど変化がなかったので、この五日後の実験も果たして意味があるのか謎ですが、一応。

 

こちらがリンゴ酢に入れる髪の毛の写真

5日後に再度リンゴ酢に髪の毛を浸ける検証写真

タイムは同じように10分×3回

5日後再度リンゴ酢に髪の毛束を入れた写真

 

10分経過

五日後 10分間リンゴ酢に浸けた髪の毛の結果の写真

変化はありません。

黒染めした直後はやや薄くなった?という感じがしなくもなかったですが、今回はそれすらありません。本当に黒のまま。

 

20分後

五日後 10分間リンゴ酢に浸けた髪の毛の結果の写真

変化なし。黒のまま

30分後

五日後 10分間リンゴ酢に浸けた髪の毛の結果の写真

最後の最後まで色の変化なし。何か変わったかと言えば、室内と髪の毛が凄まじいリンゴ酢の匂いになっていることぐらいです。

「リンゴ酢で色が落ちる!」という情報が都市伝説として流れ始めた経緯が本当に謎でしょうがありません。

 

まとめ

結論:リンゴ酢でカラーの色は落ちません。

 

リンゴ酢はそもそもかなり酸性が強いものです。

髪の毛に付けることを考えると、お風呂場で使うことになるとは思いますが間違って目に入ったりするとかなり刺激があります。

危険があるためそもそも食用以外で使うこと自体お勧めしません。

 

もしも、変色を狙って酸性のものを使いたいのであれば、せっけんシャンプーと対で売っている『酸リンス』というものが完全な酸性なので、染めた色の変色は狙えますし、個人的にはトリートメントを使っても結局同じなのでは?と感じます。

 

そして、この変色を狙うにしてもカラーをしてから時間が経過した髪の毛にはほとんど意味がありません。
(空気酸化は48時間で終了してしまう)

 

お風呂を酢臭くして家族を困らせないようにしましょう。

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リンゴの横に横たわる女性の写真
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