もしかしてまだ
「シリコンは体に良くない!」
「毛穴に詰まる!」
「シリコンが入っているシャンプーは良くないんだ!」
「ノンシリコンがいい」
なんて考えていませんか?
気持ちは分かります。自身もシリコン悪説が出始めのころ同じように考えていました。
質の良くないシャンプーにはシリコンが入っている=シリコンは良くないものなんだ!と。
しかしそれは大きな誤解だということがシリコンの事を調べていく中で分かってきたのです。
そして分かってきたのが、シリコンを悪とするようなシリコンに対する風評被害は、コマーシャルや広告宣伝が作り出した完全なデマです。
初めに結論から言ってしまいますが、シリコンは人体にとってほとんど無害です。
毛穴を詰まらせたり、頭皮や髪の毛に悪影響を及ぼすような力はありません。
美容整形で体内に使われるほど安全な物質です。
このページでは
- シリコンが本当に毛穴に詰まるのか
- 本当に体に良くないのか
- 頭皮ニキビなどの肌荒れに影響を及ぼすのか
- そして髪の毛に良くないのか
これらの内容について紹介いたします。
多くの方がシリコンに対して誤解しているようなので、ぜひシリコンの本当の姿を知ってください。
シリコンの真実
シリコンは良くないんですか?
「シリコンは悪いんですか?」という質問は仕事をしていると本当によく聞かれます。この質問に回答するならば
「悪くありません」です。
シリコンに対して必要以上に悪いイメージを持たれている方が多いので、シリコンになぜ悪いイメージが持たれるようになったのか、そしてなぜ悪くないのか。これらを知っておいていただくだけで考え方は大きく違うかと思います。
シリコンとは?
CMで「ノンシリコンシャンプー」の名前が出るようになってから認知度は上がりましたが、それまで多くのシャンプーなどに配合されていた成分です。
皆様が普段聞いているシリコンとは、正式にはシリコーンといいます。
シリコンとは本来ケイ素を表す言葉。ケイ素の英語訳が『Silicon』です。
シリコンは、シリコーンに加工される前の名前ですが、なんとなく響きがいいのか、言いにくいのでシリコンが定着したと考えられます。
このページでは皆さんが聞きなれている「シリコン」で説明しますね。
シリコンに毒性はない
『シリコンは悪い!』と考えられている方も多くいらっしゃいますが、具体的一体に何が「悪い」のでしょうか?
髪が傷む?毛穴に詰まる?頭皮にニキビができる?
「シリコンは油性っぽいメージ…それなら毛穴に詰まったり悪影響が出そう…?」
と、「なんとなくそんな気がする」というイメージで判断していませんか?
シリコンは人工的に加工された物質で、そしてその中でも非常に珍しい超安全物質と言われています。
どのくらい安全かというと、誤って食べてしまったとしても人体には無害なくらい安全です。
もちろん極端な量は例外ですし、全く栄養にはなりません。
そして外部から熱を加えられても変性を起こさないので、ドライヤーやコテ、アイロンの熱で性質が変わったり、髪にダメージを与えるような成分に変わったりすることはありません。
実はこれほど安全・安定の物質は本当に珍しいのです。
シリコンが毛穴を詰まらせるなんてあり得ない
マイクロスコープなどで頭皮の詰まった映像を見せて「これが毛穴につまったシリコンです」という説明を受けた方もいたようですが、残念ながらスコープに写っているのは皮脂であってシリコンではありません。
もし万が一シリコンが毛穴に入り込んでしまったとしても、髪の毛というのは生きている限りどんな時も伸び続けているので、成長する髪の毛と一緒に外に押し出されます。
皮脂は絶えず分泌されているので毛穴に残っているのです。
特殊な方法や、薬を使ったことによって毛穴の詰まりがなくなった。というような演出がありますが、良くシャワーで流して皮脂を柔らかくしてからシャンプーすれば大体どんな方法でもスッキリキレイに見えるのです。
動植物が作る天然オイルでは酸化してしまう
動物にも植物にも天然のオイルを作り出す力があります。
植物でいえば精油、動物でいえば皮脂などがそのオイル。皮膚の保湿以外にも髪の毛をしっとりさせパサつきを防ぐ力があります。
天然オイルは、炭素を骨格として作られているものがほとんどなのですが、非常に大きな弱点があります。
それは、日光の紫外線、空気中の酸素で酸化することで過酸化脂質という体にとって悪影響のオイルに変化してしまうのです。
過酸化脂質の分かりやすい判断がニオイ。
頭や体を何日も洗わないと、臭ってきませんか?
それは皮脂が酸化してしまい、元々無害だったはずの天然オイルが悪性オイルに変化したためなのです。
シリコンは悪性オイルの短所をなくした物質
シリコンは、天然オイルの炭素の部分をケイ素に置き換えた人工的な物質。
もちろん自然界には存在しません。
シリコンは天然オイルの最大の欠点である酸化腐敗を起こしません。
しかも、体内に使っても化学反応を起こさないので様々な医療分野に使われています。
美容整形が良い例ですね。
シリコンにもアレルギーはありますが、非常に稀。
人口血管や人口の心臓にも使われるほど人体にとって安全性の高い物質なのです。
シリコンの判断方法
シリコンがシャンプーに入っているのかという判断は簡単。
商品の箱や裏面に書かれている内容成分表示を見れば誰でも調べられます。
※医薬部外品に指定されているシャンプーは内容成分が書かれていませんが、問い合わせると教えてくれます。
「~コン」「~シロキサン」と書かれていればシリコン
シャンプーに入れられるシリコン剤は、『ジメチコン』『アモジメチコン』『シクロメチコン』『シクロペンタシロキサン』などです。
特にジメチコンが入っているのをよく見かけますね。
内容成分表示は配合量が多ければ多いほど上に、少なければ少ないほど下に表示されます。一番初めに書かれていれば一番多く入っています。
全体の0.1%以下しか入っていない場合の順番はバラバラですが、そこまで少ないと順番への影響はないので気にしなくて大丈夫です。
シリコン悪説イメージの元凶
ではなぜこの完全無害のシリコンが「悪い」「良くない」というイメージを持たれるようになったのでしょうか?
実はこのシリコン悪説の少し前に我々美容師間でちょっと問題になることが起きていたのです。
それは、「とあるシャンプー剤が流行り始めてから、上手く色が出にくい、パーマがかかりにくい、髪がベタベタする」というものでした。
商品名を挙げるのは控えますが、CMも超有名人を使いバンバン流していたので誰でも知っているシャンプーです。
当時は「とにかくシリコンをたくさん入れて髪をシットリさせる!」というシャンプー剤が流行っていた時期でした。
「シリコンを入れたらパサつきが少なくなった!それならどんどん入れよう!」
そのシャンプーの流行の影響で、他社も真似をしてシリコン剤をシャンプーに使用するようになります。
そして配合量も徐々に増えていきます。
最後は、あまりにも多すぎるシリコン剤の影響で、根元がつぶれる、髪がシットリどころかベタベタしている髪の毛になってしまい、美容師の中にはシャンプー剤の販売会社に意見する人もいたようです。
シリコン剤はカラーやパーマには影響はありません。ですがシリコン剤に限らずあまりに大量に髪の毛に付いていれば別です。
美容師から始まるシリコン悪説
シリコンが悪いという話の発端は美容師だと自分は考えています。
世間で「シリコン」というワードが出てくる何年も前から「シリコンが良くないのでは?」というのは美容師間では有名な話だったのです。
事の流れは
- シリコンたっぷりのシャンプーが流行る
- 髪がベトつきトラブルが起きる
- 美容師がシャンプーに問題があると判断し、中に入っているシリコンが原因だとお客様に伝える
- お客様の間でシリコンが良くないと噂になる
- 広告業界が噂に乗せてイメージを強化する
- ノンシリコンシャンプーが売れる ←⑤の意味はこの目的の為
これがノンシリコン悪説が世に広まった一連の流れです。
問題なのは配合され過ぎていることでベタベタした髪の毛になることであって、シリコン自体は決して髪の毛や人体に悪影響のある成分ではないというこです。
繰り返しますが、シリコン自体は無害です。
シリコンでニキビができる??
これは「シリコンが毛穴につまるのでは?」という勝手なイメージから出た考えだと思います。
しかし「シリコンが毛穴に詰まる」という正式な発表はどこの研究機関もしていません。イメージで話が大きくなっただけです。
シャンプー剤の製造元会社の人と直接話をしたことがありましたが、シリコンが毛穴につまるのか?という話をしたときに「いやいやあり得ない」と笑われました。
繰り返しますが、シリコンは無害なので、毛穴に詰まったり直接頭皮ニキビの原因にはならない。ということです。
使われているのはシャンプーだけじゃない
ノンシリコンシャンプーにはシリコンは入っていません。しかし、セットで販売されているコンデショナーやトリートメントにはシリコンはバッチリ入っています。
シャンプーもコンデショナーもセットで使えば結局お風呂から上がるころには髪の毛にシリコンはついていることになります。
他にも、紫外線による酸化を起こさないので化粧水などに配合されてることもあります。
「シリコンは良くない!」と信じている方も知らず識らずにシリコンを使っている可能性もあるのです。
シリコン入りシャンプーができた背景
ではなぜシリコン入りのシャンプーが作られるようになったのでしょうか。
いくつか理由はありますが、考えられる2つを紹介します。
理由① カラーやパーマの比率が増えた
まだまだ男性は厳しいですが、多くの社会人の女性はヘアカラーやパーマなどが許されるようになってきています。
カラーやパーマ、縮毛矯正をする人の割合が非常に多くったということは、それだけ髪の毛が傷んでいる人も多くなりました。
学生の方でもカラーや縮毛矯正をされる人はいますし、社会人の方であれば7割以上の方がカラーしているのが現代社会です。
髪の毛はダメージを受けると広がりやすく、静電気が起きてまとまりにくくなってきます。
そこで「コンデショナーやトリートメントだけでなく、シャンプーにもシリコン剤を入れることで髪の手触りを良くしようとした。」
という理由。
理由② シャンプーの洗浄成分
現在では多くの消費者の方が気付き始めたことで見直されていますが、今までのシャンプー剤の多くはとにかく脱脂力が強力でした。
「毛穴の詰まりは良くない!」という風潮があり、毛穴スッキリ系の高脱脂力のシャンプーが多かった。というのもあると思いますが、使われる界面活性剤が頭皮や髪の環境を考えたものではなかったというのが言うのが大きな理由でしょう。
脱脂力の強いシャンプー剤は必要以上に髪の毛の油分を取ってしまいます。
油分が無くなった髪の毛は静電気が起きやすくなったりパサパサしやすくなるので、それを補うためにもシリコンは便利だったのです。
目を向けなければいけないのは洗浄成分
シャンプー選びは「シリコンが入っているのかどうか」で判断するのではなく、「どんな界面活性剤を使っているのか」で判断した方がより良いシャンプーを選べます。界面活性剤=洗浄成分です。
シャンプーに入っている成分の大部分は「水」、そして次に多いのが「界面活性剤」つまり洗浄成分です。
他には保湿成分や防腐剤、金属イオン封鎖剤など色々配合されていますが、水を除けばほとんどが洗浄成分。
界面活性剤を無視して良いシャンプーを選ぶことはできないのです。
洗浄成分の中には、毛穴を変形させ、高濃度では人体に害が出てしまうので配合量が決められている。といった中々にキワドイ成分まであります。
毛穴に影響が出るのであれば、頭皮や肌に影響が出るとも考えられますよね。
あまり知られていませんが、「日本人は広告宣伝に流されやすい」というのは海外の事業戦略家の中でも非常に有名な話。
「日本人に流行らせたければ、CMや雑誌にバンバン出してその時旬な有名な人を器用すればいい」と本気で考えられています。
事実それで売れてしまうのです。
「友達が使っているなら私も…」と考えるのは日本人のいいところでもあり悪い所でもあります。
自分の好きな芸能人が使っているシャンプーなら「なんとなく良さそう…」と中身に関係なく買ってしまうということもあるのではないでしょうか。
広告宣伝によって与えられた印象で判断せず、冷静に判断することが良いシャンプーに辿り着く近道ですね。
まとめ
「シリコンは悪いんですか?」の答えは、「人体に害がないので悪くない」です。
「毛穴につまる」というのも誤解で、詰まったりはしません。マイクロスコープで見て詰まっているのはただの皮脂です。
髪の毛の手触りを改善する効果がありますが、シリコン自体に栄養はないので、「良くも悪くもない」とも言えます。
安全か安全でないかという質問には「安全」と答えることができます。
シリコンは確かに無害ですが、極端な量を髪の毛に付けてしまうとシットリしすぎたり脂っぽく見えてたりします。
何事もやりすぎは良くないということですね。
今ではシャンプー剤への配合量も見直されているようで、一時よく見かけた頭皮が脂っぽくなっている方や髪の毛がベタベタしている人も少なくなりました。
皆さんが”気付く”というのは大切なことかもしれませんね。
≪関連記事≫